リファラル採用の落とし穴の有効性
国内の労働人口減少やテクノロジーの進化といった外的環境変化により、企業のビジネスモデルの変化、個人の働き方の価値観の変化が加速しており、企業の採用担当者は、従来の採用手法に留まることなく、様々な採用手法へ着手・実施を試みている状況にあります。様々な採用手法が模索される中、日本国内で注目されている手法の一つに「リファラル採用」があります。
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「リファラル採用」とは、自社の社員に知人・友人を紹介してもらう採用手法のことを指します。自社の社員に人材を紹介・推薦してもらうことで、社員の個人的な人的ネットワークを活用し、自社の魅力や社風を効果的に伝えられ、結果として企業文化と合致した人材の確保を実現し得るというメリットがあります。
また、企業にとっては、コスト面及び効率面を鑑みると、是非検討・着手したい手法であると考えられます。
一方で、各企業の経営者・人事担当者の方々からリファラル採用の実施効果について伺うと、世の中の成功事例ほどの期待効果は得られておらず、有効に活用できていないという声を多く聞きます。紹介してくれた社員に対してインセンティブを設けても尚、効果が得られないという声も聞きます。
今回は、「リファラル採用」のメカニズムを紐解くことで、その有効性と落とし穴を考察したいと思います。
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まず、社員が知人・友人に自社を紹介する心理的動機には、下記2点があると考えられます。
1. 社員が自社を快く思っていること
2. 自社を他人に紹介したいと思うこと
1については言うまでもなく、満たしていない場合には期待する効果は大きくないでしょう。2については、どのような前提条件が揃えば満たされる必要があるでしょうか。社員が知人・友人を自社の社員候補として紹介する場面では、さらに下記の条件が揃っている必要があると考えます。
① 会社以外のコミュニティにネットワークを持っていること
② そのコミュニティに属する知人・友人を紹介できる立場にあること
③ 自社の人材要件のうち理解できている範囲があること
上記の前提条件を鑑みると、社員が会社以外のコミュニティに所属し、ネットワークを育める時間的・体力的余剰がない場合は、リファラル採用は十分に効果を発揮しないと考えられます。また、知人・友人を自社の採用担当者に紹介するうえでは、当然、その知人・友人が自社に合っているかどうか、活躍できる役割ないし成長できる役割があると判断できた場合のみと限定できます。よって、ほとんどのケースでは社員本人と同等かもしくはそれ以下の等級・ポジションの要件内で紹介が行われることになります。これらが、「リファラル採用」の落とし穴と考えられ、①から③を満たせない企業においては、残念ながら「リファラル採用」の有効性を結果的に感じにくい場合が多いと言えます。 日本国内で注目されているという実態から「リファラル採用」を検討される企業も多いと考えられますが、着手する際には是非上記1~2、①~③について自社が十分に満たしているかどうかを吟味して頂くことを推奨いたします。
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