効率的な採用から入社後の活躍につながるサポートまで
中堅・中小・ベンチャー企業に特化した「[en]学生の就職情報」
ここ数年、就職先として中堅・中小・ベンチャー企業を視野に入れる学生が増えているが、2014年卒の新卒採用戦線ではこの風向きに変化が生じつつある。アベノミクスによる景況感の改善とともに、大手の採用意欲がリーマン・ショック以前の水準にまで回復。学生たちの中で「大手企業に就職したい」という志向が強まってきているのだ。このような状況下、中堅・中小・ベンチャー企業は、どのように採用戦線を勝ち抜いていけばいいのか――。中堅・中小・ベンチャー企業を対象に採用に関するトータルサービスを提供しているエン・ジャパンに、2015年卒の新卒採用で成功を収めるためのポイントを聞いた。 (取材日/2014年1月9日)
「企業の魅力」×「いかに伝えるか」=採用力
----2015年卒の新卒採用トレンドを、どのように分析されていますか。
まずは、前年の2014年卒の動きがどうだったかを振り返ることから始めましょう。端的に言えば、企業も学生も「二極化」がよりはっきりした年だったと思います。情報への感度が高い学生は12月の情報解禁前から活発に活動していて、大手企業から早々に内定を得ていたようです。景気の回復によって、金融機関をはじめとする大手企業が積極的に採用活動を行ったこともあって、全体的な内定率は高くなりました。それに対して中堅・中小・ベンチャー企業では、欲しい学生を計画通りに採用することが難しかったのではないでしょうか。
中堅・中小・ベンチャー企業が苦戦した要因の一つは、「ブラック企業」が流行語のようになり、世間の関心が高まったことが挙げられると思います。もともとブラック企業に明確な定義はありませんが、ネット上に他社の噂話が流れると、規模や業界が近いというだけで、不人気になってしまう企業もあります。ブランド力のない中堅・中小・ベンチャー企業、あるいは外食業界、介護業界などがそのあおりを最も受けているのではないでしょうか。
2015年卒の採用市場は、アベノミクス効果もあり、大手企業は積極的に採用活動を行い、一方の学生側では大手志向がさらに強まると考えられます。そのため、中堅・中小・ベンチャー企業にとっては、厳しい採用戦線が続くと考えられます。中堅でも準大手と言えるような企業では、早い時期から説明会の回数を増やすなどの対策を講じていますが、学生が思ったほど参加してくれなかった状況もあるようです。今年度の採用に関しては、学生が大手企業を回ってからでなければ、中堅・中小・ベンチャーには目を向けてくれないことを認識しておかなければなりません。
----中堅・中小・ベンチャー企業が採用を成功させるためには、何が必要なのでしょうか。
弊社では、採用力の定義を「企業力×採用活動」と考えています。企業力自体はそう簡単に変えられるものではありませんが、「学生にとっての自社の魅力」をうまく伝えることができれば、競合他社に十分に対抗することができます。また、採用活動においては、自社の魅力に共感してくれるターゲットをきちんと絞り込み、学生一人ひとりとコミュニケーションしていかなければなりません。つまり、「いかに伝えるか」が重要なのです。今の学生は多様化していますので、ひとつのメッセージで全体をカバーすることはできません。相手にあわせ、1対1の感覚でお互いに理解しあうことを目指すべきでしょう。
中堅・中小・ベンチャー企業では、人事のマンパワーが少ないことに加え、3月までは2014年卒の新入社員の受け入れ準備に追われているケースが多いと思います。さらに、4月以降は、新人の教育と並行して採用活動を行わなければなりません。それでも、自社の魅力や特色の分析、的確なターゲット設定といった基本的な動きがきちんとできていれば、最終的には成功に近づけるのではないでしょうか。
その上で今年注意したいのは、「情報開示」です。学生のブラック企業への警戒は強く、自社に都合のいい情報だけを公開しているようでは、学生からの信頼を得ることはできません。今の学生は日常生活でSNSなどを使いこなしていますので、情報の裏側にあるものを見抜く力がとても発達しています。都合の悪い事実があれば、一気に広がってしまうと考えるべきです。入社後のミスマッチ、早期離職などを防ぐ観点からも、職場の姿を学生に正しく理解してもらうことは、とても大切だと思います。
伝わりやすい特集で1社あたりのエントリー数も対前年120%にアップ
---「[en]学生の就職情報」の特色についてお聞かせください。
もっとも大きな特色は、中堅・中小・ベンチャー企業の新卒採用支援に特化したサイトだということです。登録している学生も、中堅・中小・ベンチャー企業への就職に強い関心を持つ学生ばかりですから、大手企業と競合する一般的な就職サイトと比較しても、効率的な母集団形成が可能です。
コンテンツでは、中堅・中小・ベンチャー企業の魅力を学生にわかりやすく提示する、特集企画に力を入れています。その中でも、昨年からスタートして非常に好評だったのは、「優良成長企業特集」です。就活生へのアドバイスとして、「自分にあった隠れた優良企業を探しなさい」といったことがよく言われます。狭き門の大手企業よりも、そのような企業を探したいと思っている学生が実は多いのです。いざ探すとなると「何をもって優良企業というのか」は就業経験のない学生にとってなかなか難しい問いではないでしょうか。そこで、「[en]学生の就職情報」では、長年就職・採用支援に関わったノウハウをもとに、「これこそが優良企業だ」という一つの見方、基準をつくりました。その基準を満たした企業だけを掲載しているのが「優良成長企業特集」というわけです。
この特集への参画条件は「過去5年間のうち3年間以上で売上げを伸ばしている、または営業利益を計上している」「入社3年未満の若手社員にもチャレンジングな仕事を任せている」「商品開発・人財育成投資に中長期的に取り組んでいる」の三点です。ポイントは単に業績が良いということだけでなく、人財育成にも積極的に取り組む企業であることを2番目、3番目の条件にしていることです。今年も1月現在で、すでに上場クラスの中堅・中小・ベンチャー企業83社にご参画いただいており、学生からの反応も良好です。
----「自分自身が成長できる企業」は、学生にとって大きな魅力ですね。
私どもは、これからの時代、企業という組織に頼るのではなく、社員個人が地力をつけていくことが何よりも重要だと考えています。企業を取り巻く環境は急速に変化していて、組織がいつどうなるのかは誰にもわかりません。しかし、個人がしっかりした実務能力を身につけていれば、勤務する会社がどうにかなった場合も、新しい職場を見つけることができます。自分で仕事を選択できる力を、弊社では「Careerselectability」と呼んでいて、それを身につけられる企業こそが真の優良企業であると考えています。
そういった観点に則り、優良企業を見極めることができるもう一つの企画が、「トップセミナー特集」です。中堅・中小・ベンチャー企業では、経営者の考え方がすべての会社運営に反映されます。新卒採用の際に、経営者自らがセミナーで語りかける企業は、人財を重視する企業と考えて間違いないでしょう。また、学生が経営者の考え方に直接触れることで、入社後に「こんなはずではなかった」といったミスマッチをなくす効果もあります。この特集への参画要件は、ただ一つ。「会社説明会に経営者自身が参加している」ということです。2014年1月現在で、すでに200社以上の企業が「トップセミナー特集」に参画されています。
中堅・中小・ベンチャー企業の魅力をわかりやすく伝える特集効果もあり、「[en]学生の就職情報」掲載企業の1社あたりエントリー数は、対前年比120%と好調に推移しています。しかも、いわゆる一括エントリーではなく、1社1社に対する個別のエントリーなので、説明会参加につながりやすい母集団を形成することができるサイトとなっています。
早期退職による損失を防ぐ「キャリアサポートセンター」
---採用後のサポート体制にも、力を入れていらっしゃるそうですね。
中堅・中小・ベンチャー企業は大手企業に比べると、採用後のサポート体制が十分でないケースが多く、それが早期退職やモチベーション低下といった残念な結果に至る事例を、何度も見てきました。我々が企業に提供できる価値とは「入社」のみならず、新入社員が入社した会社で活躍できるようになるまでサポートすることだと考えています。
そこで、入社後3年程度までの若手社員のフォローを代行する「キャリアサポートセンター」というサービスを、2013年からスタートさせました。2月に実施した入社直前セミナーから始まって、専任スタッフが3ヵ月単位で個別の状況をヒアリングし、その時々に直面している課題などを企業にフィードバックするサポート活動がメインです。このプログラムを利用されている企業の若手社員同士の懇親会なども定期的に行い、「同期が少ない」という中堅・中小・ベンチャー特有の悩みを解消するためのお手伝いもしています。
約1年間サービスを行ってきて、利用いただいている企業の方々からは「退職に発展する前に何に悩んでいるのかがわかり、対策がとれた」「残念ながら退職してしまった場合にも本当の退職理由が聞けて、残った若手社員への対応に生かすことができた」といった声をお聞きすることができました。初年度は約30社、150名の方々へのサービスとして立ち上げましたが、おかげさまで2014年入社分に関しては、すでに約80社、400名分のお申込みをいただいています。
新人の早期退職やモチベーション低下は、募集・選考・採用、さらには教育・研修などにかかった費用や時間などを考慮すると、大きな経済的損失だと言えます。このことは、コストを常に意識されている経営トップがもっとも敏感に感じていらっしゃるようです。マンパワー的に十分なサポートが難しいという場合には、弊社の「キャリアサポートセンター」を、効果的なアウトソーシング先として、ぜひご活用していただきたいと考えています。
企業データ
社名 | エン・ジャパン株式会社 |
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本社所在地 | 〒163-1335 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー |
事業内容 |
人材採用・入社後活躍サービスの提供
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設立 | 2000年1月 |
代表者名 | 代表取締役会長 越智 通勝 代表取締役社長 鈴木 孝二 |