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他社との差別化を実現する採用戦略の立て方とは

2023-04-17 テーマ: 人材採用

他社との差別化を実現する採用戦略の立て方とは
~自社に合ったオリジナル採用戦略構築の4ステップ~


採用戦略は自社を知り、相手を知った上で検討する


採用戦略はなぜ必要なのか

コンサルティング現場において、人事における課題をお聞きしていると人材不足はどの企業でも話題になる。状況は違えど、企業規模問わず、人材に対して不足感を感じている状態にあると言える。このような背景には、3つ要素が考えられる。1つ目は、採用戦線での戦いが激化しており、求人増も相まった働く現役世代人材の不足。2つ目は、採用スケジュールの長期化・多様化により、人材の安定確保が難しくなった点。3つ目は、価値観が多様化し、これまでの採用手法では人が集まらなくなった点。これらが考えられる。現代がVUCAの時代と表現されるように、採用市場においても、これまでの価値観が通用しなくなり、常に変化が求められる状態になっていると言える。
この背景を踏まえ、必要になってくるのは、場当たり的な採用活動ではなく、明確な軸を持ち荒波の採用戦線に臨むことである。この軸というのが、所謂、「採用戦略」と言うものである。次の章では、採用戦略を構築するステップを解説する。


採用=マーケティングであることを踏まえた採用戦略構築ステップ

採用活動はマーケティング活動であると言える。AIDMAの法則(Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の頭文字を取ったもの)になぞらえ、求職者を徐々に自社のファンになってもらう活動と捉えられる。この一連の展開をしていくためには、軸が必要であり、それが採用戦略である。この戦略を検討するにあたっては、4つの手順を踏みたい。

1.ターゲット決定

2.自社魅力の棚卸

3.ターゲットに刺さる魅力の選定(競合との差別化も含む)

4.採用の軸(コンセプト)の決定


1.ターゲット決定
ターゲットを定めるためには、自社の目指す方向性や事業戦略・ビジネスモデルを踏まえ決定していく必要がある。採用担当部門だけでの検討ではなく、経営層や現場の部門長へのヒアリング、自社のハイパフォーマー分析などが有効な手段である。適性検査を実施している場合は、過去数年間の結果と入社社員の活躍度との相関を見て、押さえるべき素養を把握し、客観的な採用指標として置くことも実践したい。

2.自社魅力の棚卸
自社の魅力を見つける観点は、「経営理念」「事業内容」「製品・商品」「成長性」「安定性」「社風」「待遇・福利厚生」「教育・キャリア」「働き方」「社員」この10点で検討すると良い。当然1つだけでなく複数見つかれば更に良い。自社の自慢できる点を広く社員からアンケートをとることも有効な策である。

3.ターゲットに刺さる魅力の選定(競合との差別化も含む)
1で定めたターゲットに対し、2で洗い出した自社の魅力の中で有効に働くと考えられる点を検討していく。この検討には、採用における競合他社の発信内容も把握をした上で、決定ができると良い。ターゲットが複数ある(職種、雇用形態 など)場合は、それぞれに合う魅力を選定することも1つである。

4.採用の軸(コンセプト)の決定
3で選定した魅力を踏まえ、求職者に発信するためのメッセージとして明文化し、採用のコンセプトを定めていく。このメッセージを各方面・各ステップで一貫して発信していくことで採用活動に軸が通り、これに共感した求職者が集まってくる流れができる。


採用戦略の軸を起点とした戦術の検討

前章で定めた採用コンセプト(メッセージ)を起点に、戦術を検討していく。
「いつ」「どこで」「だれが」「どのように」を採用フローの各ステップごとに決めていく。前章でも取り上げたマーケティングのAIDMAの法則になぞらえると検討がスムーズである。その上で、各ステップで発信が最も効果的なツール、場所を選択するために情報収集をし、選定をしていく。ツール類は日々新たなものが生まれるのが採用領域であるため、情報は日々キャッチしておきたい。この一連を採用計画、スケジュールに落とし込み、採用の全体計画を作り上げていく。
社内の活用できるリソースは最大限活用し、全社で採用活動の臨むべきである。


さいごに

ここまで構築した採用戦略から戦術に落とし込むまでの一連を確認してきた。戦略的かつ計画的に採用に取り組むことで、振り返りが具体的にでき、より良く自社に合った採用活動を作り上げることが可能になる。
ただし、良い会社には良い人材が集まることは常であるため、採用戦略の作り上げとともに、待遇、福利厚生の充実は継続的に取り組むべきである。
また、優秀な人材が採用できたとしても定着しなければ組織力向上は継続しない。自社の理念、考え方に共感した求職者を積極的に採用する(採用基準はクリアしている前提)ことで、年輪のように組織力を高めていくことができ、良い人材が良い人材を呼ぶ善循環が生まれる。
また、当然であるが、採用すれば終わりではなく、入社後に関しても継続的に成長支援ができる教育制度も整える必要がある。昨今の求職者は、自己成長や自己実現を企業選定の軸に据えているケースも増えており、どれだけ成長環境があるかを伝えるためには、教育環境の発信は必須となっている。
採用戦略という軸を持った上で採用活動に臨んでいきながら、やがては求職者が自然と集まる状況になっていくことが理想状態と言える。まずは1歩ずつ自社の採用力・組織力を積み上げていき、理想状態に近づけていきたい。


※本コラムは立入が、タナベコンサルティングの経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。

【コンサルタント紹介】
株式会社タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 チーフマネジャー
立入 俊介

総合人材サービス会社にて、大手~中堅中小企業の新卒採用・人材育成支援に従事し、プレイングマネージャーとして組織マネジメントを担い、社内外両面の組織改革の経験後、当社へ入社。採用領域での知見を活かし、「社員が活き活きと働き、周囲に薦めたくなる組織作り」の信条のもと、顧客の理念・ビジョン・企業風土・採用競争力・制度設計・グループ人事まで、多面的要素から戦略的な人事コンサルティングに行っている。

主な実績
・新卒採用支援コンサルティング
・食品メーカー向け賃金制度設計コンサルティング
・人材育成支援コンサルティング

株式会社タナベコンサルティング コンサルタント
創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績 企業を救い、元気にする。皆様に提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。
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