「最近の若者は主体性が足りない!」とよく言われているけど・・
みなさま、「新年(度)、明けましておめでとうございます」(笑)
シンスターの曽我です。
いよいよ桜も芽吹き始めてきましたね。
4月といえば、事業年度始まりにしている企業も多く、部署ではキックオフミーテイングが行われたり、さらには新入社員も入ってきたりと、ビジネス的には新年の気分を迎えられている皆さんも多いのではないかと思います。
シンスターは事務所が渋谷にありますので、仕事帰りに渋谷の街を歩くと、居酒屋やカラオケボックスの前あたりでは、紺色のスーツで大きなカバンをもった集団がちらほら見受けられ、こんなところからも、4月の新年度がスタートしたことを感じたりしています。
さて、今回はそんな新入社員も含めた最近の若手社員の皆さんについて。
最近、新入社員や若手社員の研修のご相談を受けることも多いのですが、皆さんは自社の若手社員の方々について、どのような感じに受け取られていますか?
私もいろいろな企業にお伺いしている中、「最近の若手社員は特に主体性が足りない」といった話をよく耳にします。
特に、職場の上司の方が強く感じておられるようで、人事部や人材育成部門にも、現場からの若手社員の課題としてよく上がってくるそうです。
「主体性が足りない」。いつの時代においても「最近若い衆は・・・」というフレーズの中で、言われ続けている要素の一つのような気がしますが、この「主体性が足りない」とはどういうことなのでしょう?
まず、お約束ですが、辞書で「主体性」を引いてみると「自分の意志・判断で行動しようとする態度」などと書かれています。
ではその定義をもとに、「主体性が足りない」理由を少し分解して考えてみると、
・そもそも自分の意志を持っていないから?
・自分で判断が出来ないから?
・行動を起こそうとしないから?
・行動の仕方が分からないから?
などなど、「主体性が足りない」と思われる理由が少し見えてきます。
さらにもう少し、整理してみると、
・行動を起こす以前の意識の問題
(そもそも行動を起こしたくない、起こす必要性を感じていない、など)
・ 行動の起こし方の問題
(分かってはいるけどどう行動したらいいかわからない、うまく行動できない、など)
といった具合に、主体性も、意識(マインド)の問題、行動手法(スキル)の問題に分けて考えることもできるように思います。
以前、ある企業で若手社員の主体性の不足が育成の課題となっていました。
そ の企業では、ちょうど研修全般を見直すタイミングにあったので、現場の課題やニーズを広く聞きとる目的で、職場の上司の方々を対象に全社アンケートを取り ました。そのアンケートの中で、「若手社員に最も不足している要素」を複数からチェックしてもらう項目があったのですが、やはり「主体性」にチェックが集中する結果となりました。
想定通り、という仮説を裏付ける結果にもなったのですが、アンケートには自由記入欄も設けて「具体的に不足感を感じるところはどんなことか?」書いてもらったところ、興味深い結果が出ていました。
そ こには、「常に指示待ちで、自分で取りにくることがない」「仕事で分からない事や疑問点は、自分からどんどん質問するべき」といった、上司や先輩などに対 して「主体的」に関わってほしいというコメントが多いことが分かりました。上司の主体性不足の感覚は、具体的には「もっと上司や先輩に自分からどんどん聞 いてこい・関わってこい」というメッセージだったようです。
一方、若手社員にもヒアリングを実施したところ、関わりたくないわけではな く、上手く上司とコミュニケーションが取れていないという課題が出てきました。さらに、その原因を聞いてみると「上司がいつも忙しくしているので、話しか けづらく遠慮してしまう」、「部署には近い年次の先輩いないので、年が離れた上司には気楽には聞きづらい」といった、若手社員のことだけに留まらない、会 社としての課題が浮かび上がる結果となりました。
その後、この会社では、その調査結果をもとに、上司層に対しては研修でコーチングの要素を入れ、若手層の研修に対しては、上司とのコミュニケーションスキル(報連相のスキルなど)を強化する内容を盛り込む見直しがされることになりました。
こ のように、「最近の若者は主体性が足りない」と一言で片づけてしまうと、「一発、気合いを入れ直してやるしかないな!」といった風に、対策が間違った方向 に行ってしまうことがあるので、「主体性」という大きなワードで思考を止めずに、具体的にどういったことなのかを考えてみる必要があります。今回のよう に、直接話を聞いてみるのもとても有効な手法だと思います。
「主体性」「協調性」「コミュニケーション」・・・いろいろと育成の課題をお伺いしていると、よくお聞きするワードなのですが、具体的には?とよくよく注意して考えないといけない、と改めて思い返す今日この頃です。
皆さんの部下や後輩の方々は、主体性をもって仕事に取り組まれていますか?
「彼は主体的が足りないんだよね・・」と一言で片づけず、もう少し具体的に考え、本人にも聞いてみると、主体性を引き出すヒントがあったりますので、ご参考となれば幸いです。(意外と自分に問題があったりして・・・(笑))
さて、最後に少しお知らせです。
シンスターでは、若い社員の方々に、もっと主体的に仕事に取り組んでくれるような研修を行って欲しいというご要望にお応えして「部下力(フォロワーシップ)」というプログラムを、昨年開発して提供させて頂いています。
日本の人事部のシンスターのページでも紹介していますので、ご興味のある方がおられましたらぜひご参照下さい。
それでは皆さま、本年(度)も宜しくお願い致します!
株式会社シンスター シニア・マネジャー | |
『理屈だけでは現場は動かない』大企業とベンチャーでの豊富なビジネス経験をネタにした現場感あふれるセッションが好評 「巻き込み力研修のシンスター」にて、若手から管理職までのスキル研修・営業力強化研修の講師を担当。事業会社での実務経験を活かし、理論と組織力学を押さえたリアリティのある講義・ファシリテーションに定評がある。 |
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