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就労パスポート
[シュウロウパスポート]

「就労パスポート」とは、障がいのある人の就職や職場の定着を促すために、働く上での自分の特長や希望するサポートなどを記載して、コミュニケーションを円滑にするための情報共有ツールです。2019年11月に厚生労働省が発表した取り組みで、当事者と支援機関が一緒になって作成し、働くためのポイントを事業主にわかりやすく伝えることで障がい者の就労を支援します。就労パスポートは当事者が希望する場合にのみ使われ、採用選考での提出は必須ではありません。

就労パスポートのケーススタディ

就労パスポートの作成や提出は
本人が決めること。提出必須はNG

「障がい者支援」と一口に言っても、その人が持つ障がいによって必要な配慮はまったく異なります。また、多様な障がいの特長を人事担当者が完全に把握し、適切な対応をできるかというと、簡単な話ではありません。例えば、精神障がいのある人は、他の障がいを持つ人と比べて職場定着に困難を抱えるケースが多く、定着率が低くなっています。

それでも、ハローワークや地域の支援機関との連携を通じて適切な支援を受けていれば、定着率は高くなる傾向にあります。同じ障がいであっても、症状や程度は人によって違うため、雇用する事業主は、支援機関と連携しながら一人ひとりと対話することが必須なのです。

「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」では、事業主に障がい者が職場で働く上での環境を整備することが義務づけられています。本人の特長や配慮に関する希望を聞き、「合理的配慮」を提供しなくてはいけません。合理的配慮とは、障がいのある人が障がいのない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特長や場面に応じて発生する、障がいや困難さを取り除くための個別の調整や変更のこと。ポイントは「個別の調整や変更」で、人によって異なる希望を明確にしていくには、就労パスポートを活用し、ポイントを絞ってチェックすることが有効です。

就労パスポートには、職務経験や仕事上のアピールポイントに加え、ストレスを感じやすい状況や場面、ストレスのサイン、通院の頻度、コミュニケーションの特性などの項目があります。項目は多いものの、事前に懸念点を伝えておくことは就労の際の安心感につながります。

就労パスポートは事業主にとっても便利ですが、気を付けなければならないのは、作成や提出は義務ではないこと。採用選考の際に就労パスポートの提出を必須にしたり、就労パスポートを所持していないことで不利に扱ったりしてはいけません。本人は希望に応じて、部分的に回答することも可能です。

また、インフォームドコンセントも重要です。障がいに関する情報は「個人情報の保護に関する法律」のなかで「要配慮個人情報」と位置付けられています。就労パスポートを通じて知った内容を就労支援に活用することを本人が理解できるように説明し、同意を取る必要があります。就労パスポートはあくまで本人が主体となって管理するものなので、本人の実感や納得感を尊重することが何より大切です。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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