CX(就活体験)を高め、学生に”選ばれる”企業へ
昨今、働き方改革やテレワークの推進など、日本の労働環境は、今、大きな変化を遂げています。
終身雇用から転職・副業が当たり前になったり、働き方に対する価値観が多様化したり、またSNSなどの普及により個人が発信力等を持つようになったりと、会社と個人の関係性も変わり、これまでの全体最適重視の考え方から、個性重視の考え方へとシフトしています。
これらの変化に合わせて、新卒採用においても、特定の学生をターゲディングし企業が学生を選ぶ、という考え方から学生から選ばれる採用活動を進めていく必要があります。
選ばれる採用を実現する「採用CX」とは
そこで大事になる考え方が採用CX(Candidate EXperience)です。
採用CXとは、候補者が企業を認知してからエントリー、選考、内定、入社までの期間の中で候補者が経験する体験のことを指します。
よりイメージしていただきやすいように、似た言葉のカスタマーエクスペリエンス(Customer EXperience)を少しだけ紹介します。
これは顧客が商品やサービスを認知してから検討、比較、購入、実際の利用までの期間の中で得る体験を指します。
例えば、こんな経験はありませんか?
何か家電を買う際、家電量販店のスタッフの対応でよりよく感じ購入意欲があがった、あるいは逆に、対応が悪く買いたくなくなったといった経験や購入後のサポートが非常に良く、別の物を買う際もそのメーカーから購入した、逆に、対応が悪く、同じメーカーからは買わなくなった、など。
これらはまさにカスタマーエクスペリエンスであり、私たちは、購入検討から実際の利用までの一連のフローの中で体験した経験から、その商品、あるいは企業に対し評価を行なっています。
この考え方が、採用においても適用されるのです。
就職活動において、良い体験があれば、必然的に自社や自社の社員に対して良い印象を持ってもらうことができます。
一方で良い体験が少なければ、良い印象を持ってもらうことはできず、選考中の離脱や辞退、早期離職を引き起こす可能性が高くなります。
では、具体的に採用CXを高めるとどのような変化があるのでしょうか。
採用CXを高めるメリットとは
・離脱や辞退、早期離職の防止
採用CXを高めることで、その企業あるいは社員に対し良い印象を持ってもらうことができ、その印象はそのまま企業に対する志望度にも直結していきます。
様々な調査を見ても、学生の企業選びの軸や承諾、入社の決め手として「社風・人」が多く挙げられています。
高い採用CXの結果、「社員に魅力を感じた」「一緒に働きたいと思った」などの声が得られ、入社承諾につながっていきます。
・口コミによる次年度の母集団形成の強化
仮に今回はマッチせず、辞退、あるいは不合格となったとしても、高い採用CXは無駄にはなりません。
今、オンラインでの就活の実績も少ない中で、貴重な情報収集源として、同じ大学やゼミ、研究室、サークルの先輩が挙げられます。
どうやって就活を進めたらいいのか、何を対策したらいいのか、実際にどういう企業を受けたのか。
こういった質問の中で、高い採用CXを実現できていれば、後輩に対し、自社のことを紹介してくれる可能性が高まります。
「ここのインターンシップとても良かったよ」「ここの企業は人もよくてすごく就活の参考になったよ」
こういったポジティブな口コミから、次年度のインターンシップ参加やエントリーなどにつながるケースも多く、流入チャネル化が期待できます。
・転職の際、再度応募してくれるリピーターへ
今や転職は当たり前の時代。新卒の就職活動時には入社までは至らなかったものの、その後の転職活動の中で、再度自社が転職先の候補にあがることも少なくありません。
第2新卒採用も加速していく中で、入口から自社に対する印象が良い状態でスタートできるのは、採用CXを高めた故の強みとなります。
・企業全体のエンゲージメントが高まる
自社に対し非常に高い好感を持って、いわゆるエンゲージメントが高い状態で入社を迎えることができるようになります。
エンゲージメントが高まることで組織の生産性や業績の向上にもつながりますし、入社後の活躍や成長につながっていきます。
またこういったポジティブな捉え方が周りに伝搬していくことで、組織全体のエンゲージメント向上につなげていくことも可能です。
このように採用CXを高めることは今後の採用活動において、非常に重要な指標となっていきます。
リスクモンスター株式会社 チーム開発コンサルタント | |
「For you」(あなたのために)をモットーに 『人財育成を通じて、一人ひとりの人生を物心ともに豊かにする』ことを理念とし、組織や人の問題を、「人材」「組織」「関係」の3つの視点から分析、個人が組織でパフォーマンスを発揮できる環境をつくることで問題解決をしている。 |
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