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インタビュー
株式会社ワンキャリア Evangelist 寺口浩大氏に聞く

データに基づく意思決定と候補者体験の向上を実現
採用活動のDXを全面支援する「ワンキャリアクラウドシリーズ」

オンラインを活用した就職活動が新常態となった2022年卒の採用マーケットはどう推移したのか。また、転職も視野に入れたキャリア観が当たり前となりつつある学生の意識に、企業はどう対応しながら2023年卒採用に向きあえば良いのか。株式会社ワンキャリア Evangelistの寺口浩大氏にお話をうかがった。

通年化と複数年化。二つの傾向への対応が重要に

―― 2022年卒の採用市場を振り返って、どのような傾向がありましたか。

株式会社ワンキャリア Evangelist 寺口浩大さん photo

二つの傾向があげられます。一つ目は、就職活動の早期化です。3年生のサマーインターンシップ参加をはじめ、早い時期から就職活動を開始する学生が増えました。1年先輩の21年卒は、4年生の春に新型コロナウイルス感染症が流行し始め、多くの合同企業説明会が中止になるなどの影響を受けました。22年卒の学生は、先輩の状況を踏まえて、早期に活動を開始したのだと考えています。

二つ目は、長期化です。コロナ禍で採用活動のオンライン化が進みましたが、一方で「社風がわからない」「仕事内容のイメージがわかない」「どんなキャリアパスがあるのかわからない」といった理由で、就職先をなかなか決められない学生も増えています。

早期化かつ長期化ということは、すなわち「通年化」です。これまでは「22年卒が終わったら次は23年卒」といったスケジュールで採用活動を進めていましたが、通年化すると複数年卒の採用を同時並行で進めていかなければなりません。22年卒は、こうした「通年化」「複数年化」の傾向がはっきりしてきた年といえます。

―― 学生が「わからない」という原因は、オンライン化にあるのでしょうか。

学生の体験談をみると、オンラインかオフラインかはそれほど重要ではないようです。たとえば、学生が「社風を知りたい」という場合の「社風」とは、「どんな人がいるのか」「その人たちはどんな関係性で働いているのか」ということでしょう。

オンラインのコンテンツ上でも、社員の人柄や具体的な仕事の様子、社員同士がお互いにどういう関係性でコミュニケーションしているのかなどを見せることは可能です。それができている企業には、実際に学生も「社風が伝わってきた」という評価をしています。

―― 2023年卒採用において、学生はどう動くと予測されていますか。

2023年卒のサマーインターンシップは、前年同様に非常に活況でした。先輩の動きを見て、3年生の夏から就職活動をはじめるという考え方が定着したのかもしれません。今後も大きな環境変化がなければ、似たような傾向になるのではないでしょうか。

ただし、学生一人あたりのエントリー数は、前年ほど増えていません。2022年卒ではオンライン化への漠然とした不安から、とにかく多くの企業にエントリーする傾向がありました。しかし、2023年卒ではそこまでのパニックはありません。母集団形成で再び苦労している企業も見られます。

―― 2023年卒採用において、企業はどう動くべきだと思われますか。

今の採用マーケットの変化に対応するには「採用DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する必要があります。具体的には、次の三つの要素があげられます。

一つ目は「データに基づく意思決定」です。従来の採用は、前年を踏襲し決められたオペレーションで進めていけばなんとかなりました。しかし、現在はより戦略的な動きが求められています。大きく変化する学生の動きや採用で競合する企業の動きをリサーチし、きちんとデータで把握した上で自社の採用計画を組み立て、実施していくことが重要です。

二つ目は「候補者体験の向上」です。昨年は選考途中での辞退も多かったのですが、その背景には、良い「候補者体験」を提供できずに学生の志望度を上げられなかったり、むしろ下げてしまったりしたことがあると考えられます。また候補者体験の損失は、オンライン化でより可視化され、企業の採用ブランドにとってリスクになります。2023年卒に向けて、良い候補者体験をオンライン上でどうつくっていくかが大切です。

三つ目は「デジタルツール活用による業務効率化、社内の巻き込み」です。データに基づく意思決定には、データの整備・蓄積が不可欠。候補者体験の改善にも、コンテンツをつくるアイデアやクリエイティブが重要になります。これまでの業務にそれらを上乗せしただけでは、人事のリソースはすぐにひっ迫してしまうでしょう。今の採用実務の見直しと並行して経営や現場など全社的な協力体制を構築していくことが欠かせません。

アンケートに表れない学生の本音がわかる「クチコミ情報」

―― 2023年卒採用向け商品・サービスのポイントや特長をお聞かせください。

当社が人事向けに提供している「ワンキャリアクラウドシリーズ」は、採用DXを支援するサービスです。先ほどお伝えした、これからの採用DXで重要になる三つのポイントに対しても効果的な機能を用意しています。

第一の「データにもとづく意思決定」を支援するのが「採用計画機能」です。学生の体験情報など独自に保有するキャリアデータによって、学生や採用で競合する企業の動きを確認しながら、自社の採用スケジュールを組み立てることができます。

各大学のテストやイベントの日程、競合企業の選考スケジュール、採用事例などを自力で調べようと思ったら、大変な労力が必要です。またアンケートでは得られない選考を受けた学生の本音も知ることができます。それを手軽に確認できるのが「ワンキャリアクラウド」ならではの特長です。セグメントのターゲティングや、採用競合企業との比較や分析などの設定も簡単に行えます。

第二の「候補者体験の向上」を支援する機能は、段階ごとに用意しています。まず、学生の自社に対する「認知」を高めるのが「求人掲載機能」です。新卒採用支援メディア「ONE CAREER」は就活生の二人に一人以上が利用していて、リアルな「体験情報」を見ることができるのが特色です。今の学生は、他の学生の体験情報を非常に気にします。自社に対する「良い候補者体験の情報」がストックされてくると、認知度が高まって、新たな志望者を呼び込みます。

認知が高まったら、次は自社に関する理解を深め、志望度を高めてもらうことが欠かせません。これを支援するのが企業説明会をライブ配信する動画サービス「ONE CAEEER LIVE」です。説明会をオンラインで行う企業が増えていますが、人事がスライドを見せながら話し続けるだけでは、学生は退屈してしまい、最後まで視聴しないことも多くあります。

動画コンテンツのキーワードは、「具体性」「関係性」「双方向性」です。しっかりとコンテンツを設計し、社員の人柄やその関係性、具体的な仕事の様子まで見せていく。そして、学生の質問に答えるトークセッションなどの時間を充実させる、といった工夫が重要です。当社は良い候補者体験を提供するコンテンツの制作支援にも注力しています。

第三の「業務効率化、社内の巻き込み」にも「ワンキャリアクラウドシリーズ」は効果的です。これまで多くの手間をかけていた情報収集や情報発信が効率化できることが実感できるはずです。また、高品質な動画コンテンツを制作してアーカイブしておけば、オンライン説明会を何度も実施する手間も削減できます。「ONE CAREER LIVE」には経営トップの方が多く出演されていますが、経営トップが新卒採用にコミットしていることを社内外に発信すれば、全社の巻き込みにも大きな効果を発揮し、現場への協力依頼もスムーズになります。経営トップのメッセージを全員が理解すれば、学生に対してぶれのないメッセージを伝えられ、候補者体験のクオリティを向上させることもできます。

―― 「ONE CAREER」は体験情報の多さに定評がありますが、貴社ならではの強みについてお聞かせいただけますか。

当社が目指しているのは、45万件以上に及ぶ学生の生の声から「学生は何を求めているのか」を可視化し、そのデータを基にしたサービスを提供することです。

「ONE CAREER」のクチコミの強みは、その量的な蓄積だけではありません。学生と利害関係のない第三者として、個人を特定できない形でクチコミを集めているため、良いことも悪いことも「本音」が書かれていることが最大のポイントです。企業が自社でアンケートを行っても、学生は選考への影響を考えて、なかなか本音を書きません。「企業のアンケートはエントリーシートだと思って回答しています」とも言われています。採用を改善するためのより客観的なデータとして活用できるのが「ONE CAREER」の体験情報だと考えています。

学生に良い体験を提供できれば、良い体験情報が蓄積していきます。良い体験情報がたくさんあれば、毎年のように求人広告に頼らなくても学生が自然に集まり、自力での母集団形成が可能になります。つまり、良い候補者体験が企業のブランドとして「資産」となります。このことも、クライアントから高く評価いただいているポイントの一つですね。

変化する学生のキャリア観に企業はどう向き合うべきか

―― 「ワンキャリアクラウド」を、どのような企業に活用してほしいとお考えでしょうか。

学生の声に向き合って自社の採用を改善していきたいと考えている企業です。「ワンキャリアクラウド」は、学生の声を基に良い候補者体験を提供するコンテンツをつくり、候補者体験そのものを自社の資産として蓄積、活用できるサービスです。採用候補者も人です。本当に人を大切にする企業が、そうした良い循環をまわすことで、採用マーケットにおいても支持されて欲しいと思っています。

―― 2023年卒採用に限らず、今後の新卒採用において重要になるとお考えになっていることがあればお聞かせください。

今、個人のキャリア観が大きく変わろうとしています。学生にも、定年まで一社で勤めあげることを前提にしていない人が増えています。就活の段階から、すでに将来の転職の可能性も視野に入っているのです。

学生が就職先を決められない理由の一つに、「どんなキャリアパスがあるのかわからない」というものがあります。学生が気にしているのは「その企業内でのキャリアパス」と同時に、「その企業を退職した後にどんなキャリアパスがあるのか」という二つのキャリアイメージです。

近年、学生からコンサルティングファームの人気が高い理由のひとつに、転職後のキャリアがオープンになっていて他業界よりもイメージしやすいからだと思います。これからの世代に選ばれるためには、今後は各企業とも、自社内でのキャリアはもちろん、「退職後のキャリアパス」も含めてキャリアをオープン化していく必要があると思います。

従来の常識では考えられなかったことですが、今の学生のニーズがそうなっている以上、彼らの本音と向き合わずに、何もしないでいると、選ばれなくなってしまいます。そうした状況に陥らないためにも、採用にはデータに基づく意思決定がより重要になってくると考えています。

株式会社ワンキャリア Evangelist 寺口浩大さん

企業データ

社名 株式会社ワンキャリア
本社所在地 〒150-0043 
東京都渋谷区桜丘町20番1号 渋谷インフォスタワー16階
事業内容 キャリアデータプラットフォーム事業(採用DX支援サービス、その他)
設立 2015年8月
代表者名 代表取締役社長 宮下 尚之

会社情報

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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