企業・学生のベストパートナーとして最適なマッチングを支援
新卒採用市場をリードし続ける総合就職情報サイト「マイナビ」
経団連の指針により、選考活動開始が8月から6月へと変更された、2017年卒の新卒採用。広報活動期間が短縮されたことで、いち早く優秀な学生を獲得しようと、多くの企業が3月のエントリー受付開始を機に一気に動き出した。個別企業セミナーの開催、エントリーシートの提出もかなり前倒しになったが、この流れは来年も続きそうだ。企業はこのような動きにどう対応すればいいのか。株式会社マイナビ 就職情報事業本部 事業推進統括部 粟井俊介統括部長に、就職情報サイト「マイナビ」が捉えた最新の新卒採用動向と、今後に向けた採用戦略のポイントについてうかがった。(取材日/2016年8月22日)
高い採用意欲。競争が一段と激化
――2017年卒の新卒採用市場全体の傾向について、お聞かせください。
企業の採用意欲は、依然として高いレベルにあります。「マイナビ2017」の掲載社数は、過去最高の約1万9000社(2016年8月現在)。昨年対比で20%以上も伸びています。業種では非製造業の伸びが高く、特に医療・介護・ソフトウェア系が目立ちますね。地域による差もそれほど大きく出ていないように感じますので、全国的に活況を呈しているといえるでしょう。
今年の動向の全体傾向として、昨年と比べて実質活動期間が短くなったことにより、短期決戦化がより一層顕著になりました。ポイントはいくつか挙げられますが、第一はインターンシップの盛り上がりです。スケジュールが凝縮されたことで、採用広報活動を始める前から学生に接触しようとする企業が増えました。特に、冬季に実施する企業の割合が増加しました。第二は、採用広報開始以降の企業の動きが非常にスピーディーだったことです。3月1日にエントリー受付と並行して、個別企業セミナーへの参加を呼びかける企業が大幅に増加し、エントリーシートの提出締切や適性検査の受験案内、面接開始時期など、すべてにおいて前倒しとなりました。学生も3月、4月は相当忙しかったことでしょう。最後のポイントは、昨年から引き続き複数の企業から内々定をもらう「重複内々定」が高水準であったことです。内定が重複するということは、当然辞退される可能性もあるわけですが、入社意思決定を促すために頭を悩ませた企業も多かったのではないかと思います。
――広報、選考開始の時期が変更になった影響もあったのでしょうか。
当社の調査では、7割を超える企業が5月以前に面接を開始していたというデータがあります。企業としては昨年の反省をもとに「採用活動を長期化させたくない」という思いが強かったのではないでしょうか。もともと、今年は「短期決戦になる」というイメージを持って臨んだ企業が多かったと思いますが、ふたを開けてみたら予想以上のスタートダッシュ。各社ともエントリー者、説明会参加者が集まらず、数の確保に相当苦しんだようです。
それでも、大手企業の採用は比較的順調だったように思います。6月下旬には大体の見通しがつきはじめ、昨年以前と比べると収束も早かった。一方で苦戦したのは中小・中堅企業です。早めに動いて内々定出しまでこぎつけても、複数の内々定を得ている学生から意思決定を保留されることで収束のメドがなかなかつけられない、あるいは辞退のリスクを抱えながら活動を続けざるを得ない企業も一定います。データによると、内々定を断る場合、7割の学生は7月末までに企業に連絡をしていたようですが、裏を返すと残りの3割がこの段階でも迷っていたというのは気になるところです。
競争が一段と激しくなってきているなか、就職サイトのみで応募者を集め、説明会を開催して面接に誘導するというワンラインだけでは、なかなか数の確保が難しいという課題意識が企業側に根付いてきています。自社をきちんと認知してもらい、目標とする母集団の数を確保するために、先に述べたインターンシップの実施拡大だけでなく合同企業説明会や学内説明会に積極的に参加して、自社の特徴や強みを少しでも知ってもらおうという企業も増えています。大学のキャリアセンターとの関係を構築して、採用を優位に進めていこうという個別接触も、ここ数年で活発になってきました。
学生は活動フェーズ前半から絞り込みを急ぐ
――今年の学生の動向を、もう少し聞かせてください。
明確なのは、昨年と比べて学生の大手志向が強かったことです。通常だと時期が経過するにつれてエントリー先が大手企業から順次、中堅・中小企業へと向かっていきますが、今年は序盤にエントリーした企業からすぐに次ステップが案内されたこともあり、4月以降の追加エントリーに目を向けづらかったようです。序盤にエントリー、個別企業セミナー、エントリーシート提出など、さまざまな行動が集中したことで、視野を広げる余裕がなかったことが大きな要因でしょう。といっても、一人あたりのエントリーシート提出社数、面接受験社数は増えていますから、単に行動意欲が落ちたというわけではないようです。これらを踏まえると、学生は入り口のタイミングで絞り込んで活動していたという見方ができます。短い期間のなかで、いかに自分が行くべき会社を選べばいいのか。そうした意識を持って臨んだ学生が多かった、ということでしょう。やはりインターンシップを経験した学生は準備ができていることが多く、インターンシップの参加数が多いほど内々定保有率の推移も高かったようです。逆に、インターンシップ未経験で3月に入ってからいきなり就活をスタートさせた学生は、企業選びの軸が固まらないまま活動を開始したこともあり、視野の広げ方に苦労したのではないかと思います。
企業の採用競争力を高める充実したラインアップが強み
――「マイナビ」の特色、「マイナビ2017」で強化したポイントをお聞かせください。
「マイナビ」は総合就職情報サイトとして、掲載されている企業がどのように採用競争力を高め、より良い採用ができるのかに重きを置いています。そのため、画面の作り方やエントリーしてもらえる学生を増やすための企画を充実させています。「就職活動・採用活動における精度の高いマッチングを追求する」という事業理念に基づき、企業・学生にとって最も大きな役割を果たせるサイトであることを目指して運営しています。
企業の採用競争力を高めるために、「マイナビ」では組み合わせ可能なさまざまな企画ラインアップを揃えています。また、インターネット媒体に留まらず、イベントや情報誌といった周辺の企画も多数用意しています。例えば、「マイナビ就職EXPO」や「マイナビ就職セミナー」などの就職イベントの開催数は合わせて年間600回を超えます。、業界最大規模であると同時に分野別・領域別にも多彩な種類を企画、運営しており、企業と学生のマッチングを図るリアルな場として重視しています。
また、弊社が5年前から取り組んでいるWebセミナーも引き続き強化しています。スケジュールが短期化したなか、リアルなセミナーだけでは学生が行動、参加できる範囲に限界があります。企業と学生の接点拡大手段の一つとしてWebで中継や録画の配信など、学生の参加障壁を下げた環境を構築することが有効だと企業に提案しています。
就職活動が本格化する前での情報提供がより重要に
――2018年卒採用の動きをどのように予想されていますか。
採用スケジュールは、今年と大きく変わらないと予想しています。今年と同様に過密日程、短期決戦になるでしょう。それだけに、企業は今年の状況を精緻に分析し、それを踏まえ 必要な備えを一つでも二つでも打っておくことが重要になってきます。
採用意欲が高止まりする状況が続けば、中小・中堅企業は来年も苦戦を強いられそうです。自社の情報を発信する就職情報サイトに何を掲載するかが重要であることは間違いありませんが、その際、自社はどういう事業をしている会社なのか、自社の仕事内容や魅力をさまざまな角度からしっかりと検証し、表現として明確にしておく必要があります。学生の心が何に響くのかは各学生の持つ選択軸によりさまざまです。例えば扱う商品・サービスのことはもちろん、一緒に仕事する相手がどういう人なのか、業務の規模感やスタイルはどのようなものなのか、成果はどのように評価されるのかなど、仕事内容を多面的に因数分解・要素分解して訴求ポイントを整理しておくと良いでしょう。インターンシップについては、学生と接点を持つ良い機会になるのと、何より仕事内容をよく理解させることにつながるので、実施可能な企業は行うべきだと思っています。
――2018年卒採用では、何か新たな取り組みをお考えですか。
エントリーする前の段階、つまり「就活準備」の時期での情報発信を支援する企画をさらに充実させていく考えです。この期間が今後ますます重要性を増すと考えているからです。具体的には、来年2月に「業界研究EXPO/フェア」「業界・仕事研究EXPO/フェア」を全国各地で開催します。広報解禁となる3月1日までに学生の視野を広げるという目的を含めて、業界・企業への興味・関心を高める場にしたいと思っています。また、Webセミナーもリアルな企業説明会の代替手段としてだけでなく、2月以前の業界研究・企業研究用に利用してもらえるよう、メニューを強化する予定です。他にも、プレミアパッケージや基本パッケージに加えて「バリュープラン」という新たな基本企画を導入します。初めて採用活動を行う企業に参画してもらいやすいよう、ご利用になりやすい価格でご提供します。
――最後に、企業の実務担当者の方々に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
採用活動は、ツールを導入すれば終わりというものではありません。そのツールをどのように活用するかの「ソフト」が大切です。私はソフトには2種類あると思っています。一つは、どんな情報を発信するかということ。言うまでもなく、企業の魅力が整理されていなければいけませんし、表現も洗練されたものである必要があります。もう一つは、誰が発信するかということ。あくまでも、採用活動を行うのは人です。担当者によっては、面接や選考の出来栄えが大きく変わってきてしまいます。「マイナビ」は、面接官の採用力を高める研修サービスも充実しています。応募者を集め、さばくだけでなく、実務担当者のヒューマンスキルを高めるお手伝いもできますので、お気軽にご相談ください。
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企業データ
社名 | 株式会社マイナビ |
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本社所在地 | 〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 |
事業内容 |
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設立 | 1973年8月15日 |
代表者名 | 代表取締役社長 中川 信行 |