就活の準備段階から学生に寄り添う
学生目線に立った多様なサービスラインアップで企業の採用活動を支援する「マイナビ」
さまざま論議を呼ぶ新卒採用のスケジュールだが、2019年卒の採用市場は前年と変わらず3月・広報活動解禁、6月・選考活動開始のまま。3シーズン目ということもあって大きな混乱はなく進んだが、短期化がより一層際立ち、多くの企業にとっては厳しい取り組みを余儀なくされる結果となった。2020年卒採用はますます過熱化すると予想されているだけに、再度採用戦略を見直すべきであると言わざるを得ない。同社事業推進統括部の林 俊夫統括部長に、2019年卒採用市場の総括、新卒採用成功のポイント、「マイナビ」の新たな取り組みを聞いた。
インターンシップの位置づけがさらに高まった採用活動
―― まずは、2019年卒の採用市場を振り返っていただけますか。
今年も企業の採用意欲は増加傾向にありました。ここ数年、採用活動は非常に苦戦を強いられており、新卒採用予定数に届かない厳しい環境が続いています。若手の労働力不足はより顕著なものになっており、近年は大卒だけでなく、短大・専門学校や高校に対する需要も高まっています。
スケジュールは3年連続同一となり、前年の課題を生かして各所で積極的な取り組みがなされました。その結果というと語弊があるかもしれませんが、試行錯誤や各種の施策の中で3月以降はさらに短期化が進みました。学生の大手志向も54.5%と前年から微増し、売り手市場をより色濃く反映した市場となっています。
―― インターンシップの位置付けが、かなり高まりましたね。
当社のアンケートによると、インターンシップの参加率は昨年が65.2%で、今年は78.7%まで上昇し、10%以上もアップしています。応募率で見ると昨年は80%くらいだったのが、今年は90%を超える数値になりました。一人当たりの応募社数も昨年は2.9社でしたが、今年は4社となっており、学生にとって「まずはインターンシップ」という動きがより顕著になったと考えられます。インターンシップの普及により、学生は早いタイミングで働くことに関する事前知識を得て、自分の行きたい業界・企業を絞り込んでいたということになります。
―― 3月以降の動きはどのようなものだったのでしょうか。
学生は以前より考えが絞り込まれた状態で3月に突入していますので、活動量は3月以降で減少しています。一人当たりのエントリー社数は昨年40.0社でしたが、今年は29.3社まで減っており、月別に見ても3月上旬に集中しました。内定率の推移を見ると、選考が早かった分、昨年と比べてどの月も上昇しています。
企業側の動きとしては、主に経団連非加盟企業では、5月までに内定を出すケースが増えました。早期から学生との接点を設けることができた企業は応募対象に入りましたが、そうではない企業は応募対象に入りづらく、応募者数に非常に苦労した企業が多くありました。また満足度は文系・理系を問わず一様にして「厳しい」という声が多くあがりました。
―― 2019年卒の採用活動を振り返った上で、キーワードは何だとお考えですか。
「早期化」がひとつ挙げられます。インターンシップを含めると期間が長くなっていますが、3月以降の就職活動そのものは、より短距離走になりました。また、「多様化」も挙げられます。インターンシップはもちろん、企業が大学の授業や産学連携のプロジェクトに協力したり、ビジネスコンテストという形で学生と接点を持ったりするなど、学生と接する機会が多様化しています。また大学生だけでなく、外国人留学生、障がい者、短大生・専門学校生など採用の間口を広げていることも、多様化といえます。
3月集中の超短期決戦へ。インターンシップも中味の精査が不可欠
―― 2020年卒採用の動きはどうなりそうですか。
同一のスケジュールでの4シーズン目になりますから、今までの特徴がさらに際立ってくると思われます。インターンシップに行く学生がさらに増えるでしょう。また、学生による企業の絞り込みも早くなり、3月に活動が集中する超短期決戦になっていくのではないかと予想しています。内定率も今年を上回る可能性が高いです。
―― 企業はどう動くべきでしょうか。
まずは自社をよりよく知ってもらうアプローチとしてインターンシップはどの企業も検討されたほうが良いかと思います。ただ、これだけの盛り上がりを見せる中で、インターンシップを実施すればいいという状況でもなくなっています。
当社では優れたインターンシップ事例を表彰し、学生にとって有益なインターンシップを普及させる目的で、今年から「学生が選ぶインターンシップアワード」を実施しました。その結果、“優れたインターンシッププログラム”として以下の五つの要素が盛り込まれていることが見えてきました。
(1)学生に対してきちんとフィードバックがあること
(2)短期間の受け入れではなく、長い期間、社員と同じ立ち位置で仕事を体験できること
(3)そのプログラムに他社よりも抜きん出たオリジナリティーがあること
(4)社員との交流がきちんとなされていること
(5)募集内容と実施内容にかい離がないこと
2020年卒採用に向けては、学生にとって学びのあるものか、学生の希望に応えられるプログラム設計になっているのかがますます問われるでしょう。
―― インターンシップ以外の取り組みはいかがですか。
まず、キャリアセンターへの訪問や、学内イベントへの参加など、学校との関係性を強めることで接点を設けることも重要です。
また学生に「最初に強く入社を強く意識したタイミングはいつか」と聞くと上位に「面接」「説明会」が挙がります。学生は対面のフェーズにより、企業への志望動機が触発されることがわかります。これだけ情報が多い時代の中で、学生はリアルな情報、確かな情報を求めており、心も動かされるということでしょう。企業は対面フェーズにおいて、どんな情報を学生に提供し、どのようにモチベーションを高めていくのか、社長や部門長、先輩社員などにどのタイミングで何を話ししてもらうかなどについて、ぜひ検討すべきだと思います。かねてより社員を有効活用できている企業は、規模にかかわらず採用活動がうまく進んでいる印象があります。
―― 学生の状況をどのようにご覧になっていますか。
一人当たりのエントリー社数が減っているので、全体的に視野が狭まっているように感じます。しかし、就職活動はいろいろな企業を知ることができる機会ですので、多くの企業の多様な社員と会った方がいいと思います。
また、インターンシップやエントリーだけでなく、その後の動きを考えてしっかりと準備しておくことも重要です。選考途中で落ちてしまったり、「この企業は合わない」と感じたりした場合、これだけ採用活動が短期化している中で方向転換することは難しいため、できるだけ可能性を広げておくべきだと思います。
広がりを持って企業の採用活動をサポートできるのが、マイナビの強み
―― 2020年卒採用に向けた貴社の基本スタンスをお聞かせください。
マイナビは「学生満足度No.1」(※2018年8月に利用した就職情報サイトに対する調査結果より/調査委託先:楽天インサイト株式会社(2018年8月))としているように、学生目線に立ったサービスを展開していきたいと考えています。初めての就職活動に不安を抱えている学生にパートナーとして寄り添い、同じ目線で同じ方向を向いていきたい。広報コンセプトは、「さいしょの一歩を、いっしょに」です。
―― 新しいサービスは予定されていますか。
学生にしっかりと準備してもらうため、プレ期間のサイトでは、インターンシップをメインコンテンツとして位置づけていますが、インターンシップ以外にも企業をしっかりと研究できるコンテンツも提供しようと考え、「企業研究掲載」という企画を用意しています。これはインターンシップを実施していない企業を紹介する企画で、「ユニークな会社制度」「昨年の選考」「社会人準備」「すごい社員」「経営者に取材」「意外な一面」の6種のテーマで、学生に自社の魅力を伝えることができます。
また、通常は業界や職種で企業を検索しますが、「先輩社員」という検索軸からも企業を絞り込めるように、11月からアプリ上で出身校の先輩や出身学部の先輩などで検索できる機能を追加します。来年3月以降はこの企画をアップデートいただければOB・OG訪問を受け付け、学生が求める「人物」の面から訴求することも可能になります。
就職情報サイトとしての役割だけでなく、採用のコンセプト設計から育成に至るまで、新卒採用に関するすべてのフェーズで商材を持っている点は、マイナビの大きな強みであるといえます。採用活動が難しくなり、ニーズも複雑化しているだけに、必ずお力になれると思います。
さらに今年は短期化への対応がポイントになりましたが、採用活動の効率化・スピード化に対応するための採用管理データベースを活用した選考書類のペーパレス化も進めています。イベントの出欠管理アプリや、書類選考AIツール「PRaiO(プライオ)」もご好評をいただいております。次年度も引き続き、企業の採用成功をサポートするサービスを提供してまいります。
バックナンバー/2019年卒採用インタビュー
バックナンバー/2018年卒採用インタビュー
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企業データ
社名 | 株式会社マイナビ |
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本社所在地 | 〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 |
事業内容 |
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設立 | 1973年8月15日 |
代表者名 | 代表取締役社長 中川 信行 |