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インタビュー
株式会社学情 メディアビジネス本部 Webメディアデザイン部 上席マネージャー 澤井則明氏
株式会社学情 メディアビジネス本部 ゼネラルマネージャー 柴山之彦氏に聞く

経営の目線から採用戦略を考える
「通年採用」が採用成功につながる

2026年卒の新卒採用市場や2027年卒の見通しなどについて株式会社学情の澤井則明氏と柴山之彦氏に聞いた。

面接で学生を「育成」する

―― 2026年卒の新卒採用マーケットでは、どのような変化がありましたか。

澤井:2026年卒の採用活動では、前年に引き続き「早期化」と「長期化」が大きなトレンドとなっています。特に注目すべきは、売り手市場により、数年間減少傾向にあった学生のプレエントリー数が増加した点です。就職活動の早期化により、大学3年生の夏休みから多くの企業と接点を持つようになったことが要因と考えられます。

具体的なデータを見ると、学生一人あたりのプレエントリーシート提出社数は前年の8.6社から9.6社へ、企業セミナー参加社数も14.3社から17.3社へと増加しました。一方、実際に面接を受けた社数は前年並みの8.4社に留まっています。多くの企業と接触する一方で、選考に進む企業を厳選している様子がうかがえます。

―― 就職活動の早期化にあたり、大手企業と中小企業における採用活動に差はありますでしょうか。

柴山:大手企業・中小企業ともに、大学3年生の夏休み期間である8月にオープン・カンパニーなどを開催して学生と接点を持つべきだ、という認識は共通しています。しかし、開催数やコンテンツの充実度となると、差が開いているのが実状です。中小企業では、マンパワー不足のため何度も開催することが難しく、学生の応募や参加者の確保に苦戦するケースが多いように見受けられます。

また、内定から入社まで1年以上の間、学生をフォローし続けるという点においても、大きなコストとマンパワーがかかります。そのため、あえて早期の動きには乗らず、大手企業の採用活動が一段落した大学3年生の冬や、大学4年生の春から本格的に採用活動を行う中小企業も少なくありません。

―― インターンシップは対面とオンラインのハイブリッド形式が多いのでしょうか。

柴山:はい、ハイブリッド形式でインターンシップを行う企業が多く見られます。オンラインは学生にとっても居住地を問わず参加しやすく、企業としても多くの母集団を形成する上で有効です。一方で、対面開催は、実務体験や現場社員との交流を通じて学生の志望度を高めることを目的としています。

―― インターンシップに参加した学生を選考に促すために、有効なアプローチはありますか。

柴山:学生が早期から就職活動を始めたことに伴い、企業側の動きも変化しています。2027年卒のトレンドで言えば、大学3年生の8月に学生と接触し、10月から選考を開始、12月には内定を出すという流れが顕著になってきています。内定出しを年内に行うことで、学生を他社に逃さないようにするという意図があると思います。

しかし、ここで重要になってくるのが、内定を出してから入社までの約1年間をどのように過ごすかという点です。企業は、内定者向けのインターンシップやアルバイトをはじめとした実務体験を通じて、内定者の意欲を醸成し、入社後のミスマッチを減らすことに注力し始めています。

そして、この取り組みには、新入社員を「即戦力化」するという狙いもあります。内定期間中に実務経験を積ませることで、入社後の立ち上がりを早めようと考えているのです。

澤井 則明氏(株式会社学情 メディアビジネス本部 Webメディアデザイン部 上席マネージャー)

―― 採用に成功した企業と、苦戦した企業の成否はどこで分けられるのでしょうか。

柴山:採用に苦戦した企業は、母集団形成がうまくいかなかった企業と、学生の「質」に対する認識にミスマッチが生じている企業とに分けられます。

「母集団形成」を課題としている企業は、インターンシップの広報開始が遅かったり、採用活動に現場を巻き込めないことでインターンシップのコンテンツを充実させられなかったり、少数の人事部門で採用活動をせざるを得ないといった点が特徴として挙げられます。学生の「質」に対する認識にミスマッチが生じている企業は、早期から学生と接触することで、学生に「当社のことをあまり調べていない」「志望度が低い」と感じてしまうのです。この背景には、学生の準備期間が短くなっていることがあります。

重要なのは、選考過程を「学生を育てる場」と捉えることです。選考の過程で丁寧なフィードバックを行い、面接での改善点や強みの引き出し方を伝えることで、学生は自らの就職活動力を高められます。企業側も学生との関係を深めることにより、入社後のミスマッチを減らすことができます。

次に、採用に成功した企業は、新卒採用という枠組みに固執せず、第二新卒や20代の若手社会人まで含めた「通年型の採用」に切り替えています。大手企業でも、年々増えている傾向です。

新卒だけでなく、20代全体を採用ターゲットに

―― 就職活動の早期化が進む2027年卒の学生は、今後どのように動くと予測されますか。

澤井:就職活動の早期化は、さらに進むと考えています。当社の調査でも、大学3年生になったばかりの4月、5月の段階で、就職活動を開始する学生が増えました。特に理系学生は、授業や研究室の活動が忙しくなる前に計画的に動く傾向が強まっています。学生コミュニティのチャットでは、大学3年生の段階で既に「就活疲れ」や「大手の選考に落ちた」といった悲鳴に近い声が見られます。企業側には学生がどのタイミングでどのような情報を求めているのかを正確に見極め、それに合わせた情報を提供していくことが求められます。

―― 2027年卒の採用において、企業が取るべき動きを教えてください。

柴山:大きく三つあると考えています。

一つ目は、「採用戦略の再定義」。新卒にこだわるのか、それとも20代全体をターゲットにするのかといった、より上流の戦略を固めることが求められます。特に最近は一部の大手企業で、「応募数」ではなく「応募者の質」を重視しよう、という動きが見られます。その背景には、より優秀な人材を厳選することを重視し、学生だけではなく、ポテンシャルと一定の経験を有する20代の若手社会人まで範囲を広げているのです。

二つ目は、「長期的な採用ブランディング活動」。大学1、2年生という早い段階から学生にアプローチし、自社の認知度を高めていくブランディング活動は有効です。当社が運営しているスカウト型新卒就職サイト「Re就活キャンパス」でも、大学1、2年生の登録数が増加しています。早い段階から、将来のキャリアに関心を持つ学生が増えていることがわかります。

三つ目は、「面接において、学生を育成すること」。早期化によって学生の準備期間が短くなっているからこそ、企業側が選考プロセスにおいて学生の面接スキルを高める支援を行うことが不可欠です。

採用活動を「経営戦略」の一つとして捉える

―― 2027年卒採用に向けた貴社の商品・サービスのコンセプト、特徴について教えてください。

澤井:2025年に新サービスをリリースしました。

まず、新卒学生のためのスカウト型就職情報サイト「あさがくナビ」を、大学1年生から4年生までを対象とする通年型サービス「Re就活キャンパス」へと名称を変更しました。

「Re就活キャンパス」では、求人情報内で企業が提供する「成長環境」や「教育体制」を具体的に記載しています。研修内容や入社後のキャリアパスを明確に伝えることで、学生は自身の活躍イメージを具体的に描き、納得した上で応募・選考に進むことができます。今後は、「Re就活キャンパス」を通して、内定者向けの研修サービスも行う予定です。

柴山 之彦氏(株式会社学情 メディアビジネス本部 ゼネラルマネージャー)

―― 最後に、2027年卒採用に取り組む企業へのメッセージをお願いいたします。

澤井:少子化が進む日本では、新卒学生だけでなく、若年層全体で人員を確保する必要があります。そのためには、第二新卒や20代まで含めた採用計画を立て、企業の全体的な人員構成を見据えた戦略を立てることが求められます。その上で、新卒サービスをどう活用していくかを考えると、より採用活動がうまくいくでしょう。

柴山:新卒採用はもはや、単に人事部門が担当する「イベント」ではありません。労働人口が減っていく中で企業が成長していくためには、採用活動を「経営戦略」として捉え直すことが不可欠です。

ただ人数を確保するのではなく、「どのような人材を何人採用し、入社2年後、3年後にどう活躍してほしいのか」「どの部門にどのような人を配置すれば、会社がより伸びていくのか」といった、未来を見据えた人材戦略を立てることが極めて重要です。戦略が固まれば、学生に対して「君たちにはこんな活躍を期待している」「こんなキャリアパスが描ける」と具体的に伝えることができます。学生の志望度を高める、最大の説得材料となるでしょう。

「とにかく応募者数を確保する」という考え方から脱却し、経営の視点から採用をデザインする。これこそが、採用市場で成功するための近道だと考えています。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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