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インタビュー
株式会社ディスコ キャリタス就活編集長 鈴木一史氏、キャリタスリサーチ上席研究員 武井房子氏に聞く

「プレ期」からの企業広報が盛んに。インターンシップの重要性が増す中、
企業と学生のコミュニケーションサポートを強化する「ディスコ」

さらなる早期化が進んだ2020年卒採用戦線。インターンシップを導入する企業が増え、早い段階から就職活動の準備に取り組む学生も増加傾向にある。このような状況下、2021年卒採用はどうなっていくのか。ディスコのキャリタス就活編集長 鈴木一史氏とキャリタスリサーチ上席研究員 武井房子氏に、詳しい話をうかがった。

4社に3社がインターンシップを開催。採用目的での実施がより顕著に

―― 最初に、2020年卒の採用市場を振り返っていただけますか。

武井: 企業の採用意欲は、業界や企業規模を問わず高い水準を保っています。「前年より採用を増やしたい」という企業が3割前後という状態が続き、採用を充足できる企業が少なくなっています。実際、採用予定数を達成できている企業は半数に達していません。そのため、企業は採用広報解禁前の「プレ期」と呼ばれる段階から学生に働きかけ、印象付けを行おうとしています。

ここ数年でインターンシップを行う企業が増えました。2020年卒採用では74.9%と、実に4社に3社が実施しています。経団連によるインターンシップの日数の制限がなくなったことの影響が大きいです。それまでは「学生の職業観の涵養(かんよう)」「大学・研修室との関係構築」という目的が大きかったわけですが、実質的には「採用活動のための母集団形成」のために行う傾向が顕著となっています。

また2020年卒者のインターンシップへの参加率が86.2%に達しました。特に「短期プログラム」への参加が大きく増加。多くのインターンシップに参加することによって、学生もインターンシップに対する見る目が養われ、学生の間で企業情報を共有するケースが増えています。

また、たとえば8月のサマーインターンシップに参加した後も、同じ企業からインターンシップ(セカンドインターンシップ)の案内をもらって、参加経験者限定のインターンシップに参加するなど、つながりを継続させながら3月の採用選考の解禁に臨んでいます。以前はインターンシップと言うと、採用活動の「前哨戦」といった趣きでしたが、今は「主戦場」ととらえている企業が多くあります。

キャリタスリサーチ上席研究員 武井房子氏photo

―― 3月より前の段階で学生にいかにアプローチし、心をつなぎとめておけるかどうかで、その後の採用の成否が決まるのでしょうか。

武井: 学生の中には、インターンシップに参加しなかった企業には本エントリーしないという人もいます。インターンシップに参加することでいろいろな面で優遇や情報提供を受けられる一方で、インターンシップに出そびれた企業では優遇がなくなることで、早々にあきらめてしまうからです。企業も、インターンシップに参加した学生だけで採用予定数を充たすことは難しいはず。参加しなかった学生が不利になることはないというメッセージを伝えていかないと、採用母集団を狭めてしまい、後半戦が苦しくなります。

3月以降、エントリー社数は減少。企業を絞り込んで活動する傾向が一段と強まる

―― 採用広報が解禁された3月以降、どのような動きが見られましたか。

武井: 3月までにインターンシップに参加し、業界を絞り込んで自分なりの就職活動の軸を持つことができた学生は多かったようで、エントリーする企業が絞り込まれています。エントリー社数を見ると、3年前の2017年卒は平均43.2社でしたが、2020年卒では28.5社と大きく減少しています。

鈴木: インターンシップへの参加が増えれば増えるほど、エントリー社数が減る「逆相関関係」が見て取れます。これまではエントリーした後に企業セミナーに参加し、「この会社なら自分のやりたい仕事ができる」と感じたらエントリーシートを提出。筆記試験を受けて面接に進む、という流れでした。

ところが、インターンシップへの参加率が大きく上がったことで、状況は一変。「短期型インターンシップ」が多くの企業で開催されるようになり、インターンシップに参加した時点で、企業セミナーに参加したと感じる学生が増えました。自分なりに絞り込み、条件と合う企業にしかエントリーしないようになったのです。ただ、エントリーシートの提出社数や筆記試験・面接試験の受験社数は底を打っていて、大幅に減っていくことはないと思います。

学生は本命の企業にしかエントリーしなくなっていますから、企業はエントリーしてきた学生をより大事にする必要があります。

キャリタス就活編集長 鈴木一史氏photo

―― 選考の時期については、どのような状況ですか。

武井: この3年間、面接開始のピークが3月になる、早期の内定出しが増加するなど、選考時期の早期化傾向が一段と強くなっています。特に2020年卒の場合、ゴールデンウィークが10連休だったので、その前に内定を出そうとする企業が多く見られました。そのため、ゴールデンウィーク明けは「後半戦」のような雰囲気が漂っていました。選考解禁は6月1日ですが、「総仕上げ」の段階。事実、内定率の推移を見ると、6月1日の段階で71.1%に達しており、選考解禁前の内定が増加傾向を示しています。

学生は「ここでもいいかな」という企業から内定をもらった状態で6月1日を迎え、本命の企業の選考に臨み、うまく内定が出ればそこに決める。仮にそこがだめでも、インターンシップに参加してよく知っている会社に決める、という傾向が顕著になっています。

実際、インターンシップ参加企業の本選考に応募した理由を聞いてみると、「インターンシップを通じて、志望度が高まった」という学生が6割近くいます。さらには、「インターンシップ参加学生の優先ルートがあった」「早期選考だった」という理由も4割台で、インターンシップが本選考応募への動機づけとして、大きな存在となっていることが分かります。

鈴木: 社員懇談会がインターンシップで行われ、かつてのOB・OG訪問のようなものになり、学生の安心感を呼び起こし、広く普及しているように感じます。そういう意味ではインターンシップは非常に良い施策だと思いますが、玉石混交であるのも事実。あまりにも短いインターンシップは、会社説明会と化してしまいかねません。しかし、本来のインターンシップは、一定期間学生が企業で働いて「職業体験」を積み、そこで得た知識や経験を就職活動に生かすためのもの。ミスマッチを減らすという目的もあります。日本企業では、大卒新入社員が3年で3割が辞めているという現実があります。この傾向は長年変わりません。問題は、自分と会社がフィットしているかどうか。インターンシップを通じて社風や組織風土を理解して入社することは、一定の成果があると思います。

―― 実際のところ、学生はインターンシップについて満足しているのでしょうか。

武井: 参加したプログラムの中に、「グループワーク」「講義・座学」以外に「仕事体験」「社内見学」「社員との座談会」といった「のものがある、満足度が高くなっています。職場を見せるだけでも、満足度は大きく違ってきます。学生に聞くと、社員が働いている職場(オフィス)を見ることは人気が高く、満足度にも大きく影響します。日常的に働いている様子を見るだけでも、自分が働くことがイメージできるため、強く印象に残るようです。

2021年卒採用も採用規模は維持され、早期の施策を強化する動きが顕著に

―― 2021年卒採用はどのようになると予測されていますか。

武井: 弊社が10月に行った企業調査では、2021年卒採用の採用人数見込みは、「増える」が15.0%、「2020年卒並みとする」が76.0%を占め、採用規模は増加傾向か前年度並みになると予想されます。また、採用活動開始時期について、4社に1社は「今期よりも早める」と回答しています。採用で注力したい内容を見ると、「インターンシップの実施・強化」「プレ期(採用広報解禁前)の活動の強化」など、早期の施策を強化する動きが顕著となっています。実際、インターンシップの実施予定時期を聞くと、夏に6割の企業が実施するなど、今年も夏から加熱した様子がうかがえます。学生も、インターンシップに参加した時期が8月、9月に集中しています。

キャリタス就活編集長 鈴木一史氏、キャリタスリサーチ上席研究員 武井房子氏photo

鈴木: インターンシップの内容に工夫を凝らして学生との接点を増やし、エントリーされる企業に残ることが肝心です。いずれにしても、2月末までが大きな山場となるのは間違いありません。情報提供を行う際に企業は、情報を脚色しないで、オープンにしていくこと。学生は、広告的な情報と事実情報を照らし合わせて見ています。客観的な数字の事実をPRしていくことは大事ですが、良いところだけを脚色して出しても、学生には響きません。自分なりにパーソナライズ化された情報でないと、昨今の学生は反応しないからです。

企業は、まず採りたいと思う学生の人物像を明確化し、言語化すること。そして、その学生たちに対して、どのような価値のある情報を提供できるかをきちんと考えなければなりません。事実を採用HPや求人サイトに出していくアプローチが、採用成果に直結するのです。単に自社の良い面だけを出す、PRしたい情報だけを出すといった対応は、これからは通用しないでしょう。

「キャリタスContact」「身につく力から選ぶインターンシップ」など、
企業と学生のコミュニケーションサポートを強化し「キャリタス就活」を運営

―― そうした中で、貴社はどのようなサービスを展開していくのでしょうか。

鈴木: 企業へは、昨年にリリースしたLINEを使った学生とのコミュニケーションツール「キャリタスContact」が好評です。インターンシップが増えているため、採用期間が非常に長くなり、学生へのフォローがより重要となっています。一方でマンパワーが足りず、インターンシップの種類が増えて工数がかかるなど、負荷が重くなっています。「キャリタスContact」のLINE@を活用すれば、自動的に学生とのコミュニケーションが可能となり、効率化を実現できます。事前にシナリオ(個別対応情報)を作成しているので、学生とのコミュニケーションがスムーズに進みます。昨今の学生はメールよりもLINEを利用することが多いので、コミュニケーションとしてのツールとして最適といえるでしょう。

一方、学生に対しては、ユーザーファーストに立った視点で「キャリタス就活」を運営していきます。就職サイトとしての利便性を高めるだけでなく、これまで以上に学生目線に立ち、学生に寄り添ったサービスを提供します。具体的には、「身につく力から選ぶインターンシップ」という検索キーを用意しました。現在「キャリタス就活」には、3500社を超える企業のインターンシップ情報を掲載していますが、「チームワーク」「発想力」「リーダーシップ」「バイタリティー」「論理的思考力」「課題発見力」など、インターンシップに参加するとどのような力が身につくのかを、各企業が表記しています。

インターンシップで「身につく力」とは、実際に会社に入ってから「発揮してもらいたい力」に他なりません。学生はこれらのテーマをもとに選択し、インターンシップに参加。企業は学生がその力を身につけているかどうか、その力に興味や関心があり身につけようと努力しているかどうかといったことがわかるので、マッチングを図ることができます。

近年、企業側もインターンシップの有効性を強く感じています。「キャリタス就活」を通じて学生が自分に役立つインターンシップを選択することで、入社後のパフォーマンス向上、ミスマッチ解消へと役立ってくれればと思っています。

キャリタス就活編集長 鈴木一史氏、キャリタスリサーチ上席研究員 武井房子氏

企業データ

社名 株式会社ディスコ
本社所在地 〒112-0004
東京都文京区後楽2-5-1 飯田橋ファーストビル 9階
事業内容
  • 企業の人財採用に関するコンサルティング、採用広報活動の企画提案
  • 高等教育機関の学生募集に関するコンサルティング
  • 人財紹介・派遣事業
設立 1973年10月1日
代表者名 代表取締役社長 新留 正朗

会社情報

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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