株式会社学情 メディアビジネス本部 Webメディアデザイン部 兼 イベントビジネスデザイン部 上席マネージャー 澤井則明氏に聞く
Z世代の情報収集スタイルを踏まえたサービスを提供し、ダイレクトリクルーティング成功を後押しする「あさがくナビ」
コロナ禍での行動制限が緩和した2023年。採用活動はオンラインと対面を併用するハイブリッド型が定着しつつあるが、さらに売り手市場の傾向が強まっており、採用の難易度はより高まっている。厳しい状況が続く中、2025年卒採用をどのように進めていけばいいのか。「あさがくナビ」の運営責任者である株式会社学情 取締役(コーポレート本部・メディアビジネス本部担当)の乾真一朗氏、メディアビジネス本部 Webメディアデザイン部 兼 イベントビジネスデザイン部 上席マネージャーの澤井則明氏に聞いた。
ここ数年で激変した就職活動。前年踏襲では対応不可能
―― 2024年卒の学生にはどのような特徴がありましたか。
澤井:2024年卒の学生は、新型コロナウイルス感染症の影響を最も強く受けた世代といえます。大学入学と同時にコロナ禍が始まり、3年生になってやっとキャンパスライフを楽しめるようになった直後に、就職ガイダンスがスタート。夏季インターンシップに申し込もうとしても、サークルやアルバイトなどの課外活動の機会を得にくかったため、「ガクチカ(大学で力を入れたこと)」として何をアピールするべきか分からない。まさに手探りで進めた就職活動だったと思います。
大きな特徴は、就職活動がさらに早期化したことです。2月末までの内々定率は30.8%と、昨年同時期の22.2%より8.6ポイント増加しました。そして3月までに第1志望を絞り、3月1日の解禁と同時に本格的に就職活動を開始。6月末には6割の学生が就職活動を終えていました。プレエントリー社数の概算平均は、2023年卒の21.6社から21.2社に減少。セミナー参加社数も17.1社から16.3社に減り、学生が企業数を絞り込む近年の傾向がさらに進んだことが分かります。
一方で、面接を受けた社数は前年の8.6社から8.9社に増えています。企業の人材獲得競争の激化に伴い、書類選考の通過率が高くなったと考えられます。
―― 企業側の動きはどうだったのでしょうか。
澤井:学生の就職活動の早期化のスピードに、対応できた企業と対応できなかった企業で、明暗が分かれました。内々定率を見ると、2023年卒の6月末時点が78.8%だったのに対して、2024年卒の6月末時点は84.4%と、就職活動だけでなく内々定出しも早期化の傾向が強まっています。この早期化に対応するためには、職場体験やインターンシップなどを実施し、しっかり早期接触の機会をつくることが大切です。
―― 2024卒採用で苦戦した企業の特徴を教えてください。
澤井:一部の人気企業を除き、前年踏襲の採用計画を立てていた企業は総じて、採用に苦戦している印象があります。
学生の動きが圧倒的に早くなっているので、その変化を読み切れているかどうかが重要です。新卒採用はコロナ禍が始まった2020年以降、毎年大きく変化しており、私たちも必死でその変化をキャッチアップし続けています。変化のスピードが速いので、採用を担当される方々だけで採用の動向を把握することは難しくなっていると思います。
一方で、感度高く対応している企業もあります。特に大手企業は、早期開催のイベントや掲載メディアへの申し込みが早く、「2026年卒向けの提案が早めに欲しい」などと、前倒しで採用戦略を練っているところもあります。
また、2024年卒の採用活動では、オンラインと対面のハイブリッド型が定着しました。オンラインと対面、双方の良さを活かしたコミュニケーションを展開できた企業ほど、採用につながっているようです。
大学3年夏のインターンシップが、採用活動の入口に
―― 2025年卒の学生はどのように動いていくのでしょうか。
澤井:4月から会員登録がスタートした「あさがくナビ2025」の登録者数は、例年よりも早いペースで増えています。就職活動の一環としてインターンシップに参加する姿勢は、既に就活生の間に定着しているようです。
乾:2025年卒からは、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の合意によって、インターンシップのルールが変わりました。5日間以上のインターンシップに参加するなど、一定の条件を満たした学生から得た情報を採用活動に活用しても良いと明文化されたのです。
これにより、大学3年生の夏頃から始まるインターンシップが、採用活動の入口になるという認識が強まると考えられます。もちろん、以前から学生のインターンシップ参加率は高まっていて、84.4%がインターンシップに参加したというアンケート結果も出ています。おそらく2025年卒は、この傾向がより強まるでしょう。
一方で、インターンシップを実施する企業が増加したことで、学生のインターンシップの応募が分散しており、インターンシップのエントリー数が減っている企業もあるようです。
―― 2025年卒採用について、企業はどう動くべきでしょうか。
澤井:インターンシップの内容を工夫して、早期に動く必要があるでしょう。危機感を抱いている企業の中には、8月頃から追加予算の検討を始めているところもあると聞きます。
乾:とはいえ、企業が5日間以上のインターンシップで大人数の学生に会うことは難しいと思います。優秀な学生を選考し、5日間以上のインターンシップで迎え入れるというスキームは残しつつ、それとは別に「オープン・カンパニー」を夏に実施する企業が増えるのではないでしょうか。オープン・カンパニーとは、1日など短期で行われるセミナーやワークショップのことです。
澤井:採用活動に関しては、「落とす採用」ではなく「魅力を伝える採用」という姿勢が重要です。過去の採用活動は、一次面接参加者の半数に合格を出し、二次面接ではさらに半数に合格を出すというように進めていたと思います。しかし、そのような姿勢では学生は集まりません。自社で将来活躍してもらえる人材を再定義し、一人ひとりの個性を生かしながらピンポイントでマッチングする姿勢が求められています。自社が採用したい人材を採りに行く戦略に変えない限り、良い人材は採用できなくなってきていると感じています。
Z世代の情報収集スタイルに合わせた商品開発に注力
―― 2025年卒向けの商品・サービスのコンセプトや特徴についてお聞かせください。
澤井:「あさがくナビ(朝日学情ナビ)」は、「ダイレクトリクルーティングサイト会員数」3年連続No.1を獲得(※2020年~2022年 東京商工リサーチ調査 ダイレクトリクルーティングサイト会員数 第1位)し、多くの学生を対象にしたスカウト配信が可能です。この強みを生かして、ダイレクトリクルーティングサービスをさらにブラッシュアップする予定です。
「あさがくナビ」の特徴は、Z世代の情報収集スタイルや、就職観に合わせた商品開発に注力している点です。たとえば、学生が自身の個性に合致するキャラクターを登録できる「アバター」機能をフルリニューアルしました。「アバター」を16 種から32 種に倍増したことにより、学生はより自身の個性にあったアバターを選択できます。企業は、そのアバターを確認しながら、スカウトを送ることが可能です。
“職場体験型”採用動画「JobTube」シリーズは、「デジタルを通して、企業のリアル(雰囲気や社員の声)を知りたい」という学生の声に応えるために誕生した動画サービスです。「JobTube 縦 Lite」は、スマホでの視聴体験を最適化した就活版「縦型動画」で、30秒・60秒の縦型動画を「あさがくナビ」のトップページに掲載し、求人へのアクセスを促進しています。
乾:いわゆるZ世代といわれる層は、タイパ(タイムパフォーマンス)を非常に重要視しています。企業研究をするためにホームページを隅から隅まで読むよりも、SNSでハッシュタグを用いて検索したり、情報がまとめられた動画を見たりして情報を収集しています。世代の変化とともに就職活動のあり方も大きく変わってきています。
澤井:情報の取得チャンネルが増えているため、旧来型のサービスだけではなく、さまざまなチャネルで情報を届けることが重要です。今年で3年目を迎える「JobTube」シリーズは動画の数が蓄積されてきたため、動画のまとめサイトをリニューアルしました。
―― 今後の新卒採用活動に向けて、企業へアドバイスをいただけますか。
澤井:2025年卒の学生は、小学生の頃からスマートフォンを持っている世代です。子どものときからYouTubeやInstagramに接しており、高校生からはTikTokに親しんできました。成長過程でSNSがベースのウェブサービスを使ってきた世代であることを認識すると、採用活動のあり方も変わってくると思います。
乾:冒頭に学生一人あたりのプレエントリー数が減っていると話しましたが、採用の応募数そのものも減少傾向にあり、企業としては厳しい時代になっていると思います。ひと昔前のように何千という応募があり、書類選考で落とし、一次面接は定型的な質問をして、ふるいにかけるような採用は通用しなくなっていくでしょう。落とす面接から引き上げる面接に変える必要があると気づけるかどうかで、採用の成否が決まるのではないでしょうか。
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企業データ
社名 | 株式会社学情 |
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所在地 |
【本社】 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-3 東京宝塚ビル7階 |
事業内容 | 就職情報事業、 広告事業 |
設立 | 1977年11月7日 |
代表者名 | 代表取締役社長 中井 大志 |