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インタビュー
株式会社リクルートキャリア 岡崎仁美リクナビ編集長に聞く

学生と企業の相互理解を深めつつ、採用業務の効率化も実現
「リクナビ」+WEB説明会「R-Webinar」の実力

新卒採用における企業の「質」へのこだわりは、「グローバル採用」「通年採用」なども視野に入れる大きなうねりとなって定着しつつある。ところが、就職サイトオープンから選考開始までの期間が短い2013年卒新卒採用では、業界や職種の絞り込みが十分できていない学生や、職業観自体が成熟しきっていない学生も選考対象にしていかなくてはならない。いかにして学生のポテンシャルを見きわめるか、企業の真の採用力が問われることになる。就職を希望するほとんどの学生が利用するといわれるナンバーワンメディア「リクナビ」が提案する対策について詳しく聞いた。 (取材日/2011年10月25日)

企業も学生も「二極化」がさらに進む2013年卒新卒採用

----2013年卒における新卒採用のトレンドをどう分析されていますか。

株式会社リクルート HRカンパニー・岡崎仁美リクナビ編集長ここ数年の大きな流れ、つまり「量より質」という企業の採用方針は、今後も続いていくと思います。すでに、国際的なビジネス環境で通用する人材として海外からの留学生を採用する動きや、第二新卒や既卒者も含めて新卒を捉えなおす通年採用の動きなど、従来からの新卒採用の概念を変えるパラダイムシフトともいえる動きは着実に進展しているのではないでしょうか。

その上で2013年卒の新卒採用を考えますと、企業も学生も、「二極化」というキーワードが浮かび上がってきます。

まず、就職サイトがオープンする12月から選考開始の4月までの母集団形成の期間が2カ月短くなったことの影響を、あまり受けない企業と大きく受ける企業とにはっきり分かれてくると思います。規模の大小にかかわらず採用力の高い企業は、母集団形成の期間が短くなってもあまり影響はないと考えられますが、大手企業でも学生の企業研究が進んでいくに従って認知されていく「B to B」型の企業や中堅・中小企業は、相当な危機意識を持っていると思います。これが企業側の「二極化」です。

一方、学生側は、例年、多くが就職活動を通して徐々に社会人との接し方や考え方を学び、自分なりの職業観ややりたい事などをはっきりさせていきます。しかし、2013年卒では、企業の採用広報活動が遅く始まる一方、選考開始時期は例年通りとなるため、説明会等の就活スケジュールが過密になることが予測されます。そうなると、以前から自分の将来について深く考えたり、社会との接点を豊富に持ったりしてきた学生は、自分の「キャリア観」に基づき、どの説明会に行くべきかなどを速やかに決めることができますが、将来のことも社会のことも、これまであまり考えずに来てしまったタイプの学生は、例年以上に「動き始めてから考える」手法が通用しづらくなります。一人で複数の内定を取る学生と、なかなか内定が取れない学生の「二極化」がより進む可能性があります。

この学生の「二極化」は企業にも当然影響を及ぼします。さきほど、採用力の高い企業は母集団形成にあまり困らないはずだと申し上げましたが、その母集団に未成熟な学生が多く含まれれば、選考の段階では「今年は例年に比べてレベルが低い」という印象が強くなると思います。それが本当に求めるレベルの学生がいないのか、それとも未成熟なだけでポテンシャルは秘めているのか -- 企業にはそこを見きわめる選考の技術が求められるようになります。

---そうした「二極化」が進む状況に対して、「リクナビ」はどう対応されているのでしょうか。

基本的には、企業と学生の「出会いの機会」をできるだけ多く作ることが私どもの役割だと考えています。そのためにも、有名・人気企業以外にも多くの企業に参画していただくこと、そしてそれぞれの企業の魅力をさまざまな切り口で学生に見せていくことに力を入れています。

そうした新しい切り口で学生に企業を発見してもらうための仕組みの一つが、職務適応性マッチングシステム「リクナビスコア」です。これは、企業が求める人材のタイプを職種ごとに「SPI2」の職務適応性フレームに沿って抽出したものと、「リクナビ診断」という学生へのアンケートをもとにデータ化した組織文化への指向を照らし合わせ、リクルート独自のロジックでマッチングを行うものです。合致度は「★★★」「★★」「★」「表示なし」の4段階で示され、学生はどの会社のどの職種が自分の職務適応性に合っているのかが一目で分かるようになっています。「知らない会社にも自分の適性にあう仕事がこんなにあったのか」という驚きとともに、学生の就職活動時の視野を広げていく機能です。

この職務適応性によるマッチングシステムは企業側でも利用してもらえます。それが「R-SPICEターゲティング」です。自社にエントリーしてきた学生に15分程度のアンケートを実施し、職務適応性によってグルーピングできます。どんな職務に適性のある学生か、またその度合いなどを組み合わせて優先順位をつけたり、提供する情報をきめ細かく変えたりすることができます。特に2013年卒は、学生の就職活動を通しての成長が遅くなる可能性が高いことから、この適性データと実際に会った印象を比較することで、学生の本質を見きわめる効果的なツールとしてもご活用いただけると考えています。

この他にも、「リクナビ」からパスワードの再入力なしで移動でき、学生の再訪率が飛躍的に高まる独自の採用ホームページ作成サービス「R-SHIP2」や、多彩な企業検索、学生の興味を引く特集記事などで、企業にとっても学生にとってもより多くの「出会い」が効率よく生まれるような仕組みづくりを心がけています。

活発な質疑応答を可能にするWEB説明会「R-Webinar」

---現在、特に力を入れて提案されている企画についてお教えください。

株式会社リクルート HRカンパニー・岡崎仁美リクナビ編集長企業説明会やセミナーは、企業と学生が理解を深め合う大切なイベントですが、2013年卒は選考開始までの期間が短く、日程の重複などがかなり予想されます。また、採用予算にも限りがあり、大規模な会場を押さえられない、地方開催ができないといった声もよくお聞きします。こうした課題を解決するソリューションとして現在、特に力を入れてご提案しているのがWEB説明会「R-Webinar(アール・ウェビナー)」です。

「Webinar」とは「WEB」と「セミナー」を組み合わせた造語で、その名の通りインターネットを使って企業説明会やセミナーを配信するものです。学生が見たい時に見ることができる動画と、リアルタイムでの生中継の両方が可能で、生中継の場合は文字によるチャットで見ている学生からアンケートを取ったり質問に答えたりすることもできます。

実際に学生を集めた説明会の様子を配信することもできますが、WEB上だけで説明会を行ってしまうという使い方も効果的です。企業側としては会場費や準備の手間がかからず、手軽に配信できます。学生側は交通費の負担がなく、時間的制約も少ないのがメリットです。もちろん海外にいる留学生の参加も可能になります。

「R-Webinar」のもう一つの大きな特徴が「双方向」です。実際に大きな会場にたくさんの学生を集めて行う説明会では、質問があまり出ないことも多いですが、WEBなら企業と1対1で向かい合っている感覚があるためか、質疑応答が非常に活発になります。質問した学生以外もそのやりとりを見ることが出来るので、仕事内容や社内の雰囲気など学生が知りたいと思う情報を多くの参加者と共有できます。

2013年卒の新卒採用の傾向は、就業観などがまだ確立していない段階で学生を見きわめ、企業としての採否を「決断」することが大きなポイントになります。この最終段階は必ずフェイス・トゥー・フェイスで慎重に行うという企業が大半でしょう。そのためにも、それに先立つ実務に関しては出来るだけ効率化を進め、重要な決断にこそ時間と手間をかけるべきだと思います。「R-Webinar」をはじめとするITの有効活用をご提案する理由はそこにもあります。

「リクナビ」の知見×ソーシャルメディアの可能性で、新たな就職/採用を描きたい

---ソーシャルメディアを活用した新卒採用も注目されています。今後、どのように展開していくとお考えでしょうか。

ソーシャルメディアは、今後の社会における「情報」や「コミュニケ―ション」の概念を変える可能性を秘めた、非常に魅力的なツールだと思います。新卒採用シーンの中の活用についても、現状で言えば従来の採用プロセスの一部分を代替するに過ぎない状況ですが、ひょっとしたら採用活動そのものの在り方や、「企業=雇う側、個人=雇われる側」といった企業と人の関係性をも覆してしまうかも知れません。

「リクナビ」では、2012年卒版よりFacebookと共同でOBを探して接触できる「コネクションサーチ」をスタートさせています。これは例えば学生数のあまり多くない大学で、OBを探すこと自体が難しいと感じている学生を支援できるツールだと思います。既存の就職/採用活動システムにおいても、まだまだ情報の非対称性による不具合は多い。まずはそうした課題に風穴をあけ、学生/企業双方の、就職/採用活動をサポートしたいと考えています。

しかしこれは、ソーシャルメディアの可能性を十分に活用したものだとは考えていません。私どもはこれまで50年超にわたって、日本の学生と企業の橋渡しを行ってきました。そうした知見や、既存の「リクナビ」強みも生かしつつ、新しい時代の「就職/採用のあるべき姿」を、こうした新しいツールやコミュニケーション文化を鑑みて、描いていきたいと思います。

---ありがとうございました。

株式会社リクルート HRカンパニー・岡崎仁美リクナビ編集長

企業データ

社名 株式会社 リクルートキャリア
本社所在地 〒100-6623 
東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウノースタワー
事業内容 社員募集領域における人材採用広告事業/斡旋事業/選考支援事業
[厚生労働大臣許可番号 13-ユ-010258]
設立 1977年11月28日(商号変更2012年10月1日)
代表者名 代表取締役社長 水谷 智之

会社情報

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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