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インタビュー
株式会社リクルートキャリア 新卒事業統括部 統括部長 大家純一氏、
株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所 所長 増本全氏に聞く

2022年卒採用はオンライン&リアルの「ハイブリッド型」が主流に
学生ファーストをコンセプトに生まれ変わったサービスを提供

2021年卒の採用戦線は、年明けから新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、異例続きの展開となった。コロナショックの着地点が見えない中でスタートした2022年卒の採用についても、多くの企業が「採用計画の詳細は未定」とするなど、不透明感が続いている。人事は、学生や他社の動きをどう読めばいいのか、また、急速に進んだオンライン化にどう対応すべきなのか。就職サイトの草分けともいえる「リクナビ」を運営する株式会社リクルートキャリアの大家氏と増本氏に、新卒採用の最新トレンドと新たに投入されるサービスの詳細についてうかがった。

オンライン化で重要になるコミュニケーションの「鮮度」と「頻度」

―― まず、2021年卒採用の振り返りからお聞きしたいと思います。コロナ禍の影響が顕著になる以前と以後では、情勢も大きく変わったのではないでしょうか。

増本:2021年卒採用のスタートは、近年の人手不足、採用難の傾向を受けたものだったといえます。「人が採れない」という前提の中でどう採用計画を立てていくかがポイントで、これまでのやり方だけでなく、採用時期や採用手法を柔軟に多様化させていく傾向が見られました。

株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所 所長 増本全さん photo

時期については、早期化とよくいわれますが、それでも採用できないので長期化もしています。延期になりましたが東京2020オリンピック・パラリンピックの影響もあり、約25%の企業、4社に1社が採用計画を前倒しすると回答していました。また、「3年以内の既卒者」「海外の日本人留学生」「外国人留学生」などに採用ターゲットを広げる動きがあったほか、「リファラル採用」「インターンシップからの直接選考」といった、新たな採用手法に取り組む企業が着実に増えました。

そうした中、2月中旬からコロナの影響が出はじめ、就職メディアや大学主催の合同企業説明会、大手企業の個別説明会などが軒並み中止・延期になりました。ただ、4月の緊急事態宣言までは参加人数を絞り込みながらも採用選考が進んでいたようで、内定率は4月初めまでは前年以上の水準でした。コロナ禍の影響が本格化するのはそれ以降で、5月からの内定率は前年比でマイナスとなっていきます。

―― まさに不測の事態だったわけですが、企業はどう動いたのでしょうか。

増本:直接会えなくなったとはいえ、企業側は採用活動そのものを止めたくはありません。そこで進んだのが「オンライン化」です。この動き自体は3月頃からありました。6月12日時点での内定者に「最終面接の形式」をきいたところ、41.5%が「WEB面接」と答えました。これはかなり高い割合の印象です。(※1)
(※1)リクルートキャリア 就職みらい研究所 「就職プロセス調査(2021年卒)『2020年6月12日時点 内定状況』」
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2020/200624-01/

企業からは「やはり最終は対面で見きわめたい」という声もありましたが、現実問題として会えない状況で待つよりも、オンラインで早く結論を出す選択をした企業が少なくなかったのでしょう。企業規模で見ると、5000名以上の企業の56.6%がオンラインで最終面接を行っています。

一方、100名未満の中小企業では79.5%が対面面接でした。やり方を模索するのに時間がかかったたり、オンライン面接の設備が整わなかったりした中小企業も多く、選考が中断するケースも重なり、内定率の低下につながったと思われます。

―― オンライン化によって、採用活動にはどのような影響があったのでしょうか。

増本:企業側から共通して出ていたのは、学生の評価自体はオンラインでも十分可能ということです。過去の経験やそこから何を学んだのかは、対面でなくても引き出せます。それに対して、最終的な見きわめや動機づけのほか、第一志望はどこか、内定を出したら入社してくれるのかといった判断は難しいようです。意思確認が不十分な場合、従来はお茶を飲みながら面談フォローなどで本音を引き出し、企業理解を深めてもらうといったコミュニケーションができましたが、オンラインではそこまではできません。

逆に学生側はオンラインか対面かで入社企業の理解度に差が出ませんでした。企業理解に役立ったのは、人事からの定期的な連絡、既存社員との対話の機会、内定者同士の懇親会など、コミュニケーションの「鮮度」「頻度」を伴うやりとりだったというアンケート結果が出ています。面接も説明会も、接触した企業が増えて経験値が上がるほど「オンラインの方がいい」という回答が増えます。対面と違って緊張することもなく、移動時間や交通費もかからないことで、オンラインにはメリットが多いと受け取られているようです。

―― 2021年卒採用には、どのような傾向があったとまとめられるでしょうか。

増本:6月の最終的な求人倍率は、1.53となりました。(※2) 2月時点の1.72と比較すると、コロナ禍の影響で下がったことは明らかです。ただ、一方で内定率をみると、その後、次第に回復しています。6月は前年比13ポイント減だったのが、10月は前年比5ポイント減まで戻しています。業界によって濃淡があるのはたしかですが、過去の就職氷河期やリーマンショック後と比べると、採用意欲の落ち込みは限定的といえます。
(※2)リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2021年卒)」
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/200806_kyujin.html

そうした中で採用活動のオンライン化が進み、対面のフィーリングにもとづく従来型のマッチングから、より中身を重視する新たなコミュニケーションへと変化しつつあります。

採用計画が「未定」の企業が多い2022年卒採用

―― コロナ禍の収束はまだ見通せていませんが、そういった中で2022年卒の採用計画はどのように進んでいるのでしょうか。

増本:企業からは、「コロナ禍によって採用計画が立てにくい」「インターンシップの設計も進めにくい」という声が多く聞かれます。また、選考は比較的オンライン化がしやすかったけれど、インターンシップをどうオンライン化するのか、という課題もあるようです。

ただ、積極的な企業はどんどん情報提供を進めており、学生も動き出しています。10月時点で約半数の学生が就職活動準備を開始していて、インターンシップ経験の平均は4社。そのうち3社がオンラインというデータも出ています(株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所「2022年卒 インターンシップ・就職活動準備の現状に関する調査」)。(※3) 秋冬から年初にかけて、企業理解を深めるためのインターンシップがさらに増えていくことは間違いないでしょう。
(※3)リクルートキャリア 就職みらい研究所 「2022年卒 インターンシップ・就職活動準備の現状に関する調査」
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2020/200930-02/

―― 採用計画が立てにくいのは、企業業績が見通しにくいことが理由でしょうか。

増本:そうだと思います。われわれもいろいろな企業に採用予定を聞いていますが、もっとも多いのが「未定」という回答です。新卒採用の場合、多くの企業は翌年の事業計画が決まる前に、ある程度「見込み」で動き出します。しかし、今年はそこがかなりシビアになっている印象です。

コロナ禍は、まだ収束のめどが立っていません。そのため企業の本音としては、就職氷河期のように、長期にわたって組織構成に歪みを生じさせる極端な採用抑制はしたくないはずですが、現状では判断が非常に悩ましいところなのだと思います。

―― 2022年卒採用は、どのように傾向を捉え、何に留意して進めるべきでしょうか。

増本:採用活動のオンライン化は完全に定着すると考えられます。それをより進めて、徹底してやっていこうとする企業もありますが、「使い分ける、ハイブリッド型でやる」という企業のほうがもっと多くなっています。要は、オンラインでできるところはオンラインで、リアルでやった方がいいことはリアルでという、それぞれの良いところを生かそうとする発想です。

時期については、早期化がやや一段落すると見ています。コロナの影響で需給バランスが変化し、採用計画未定という企業が多いことから、採用難だったこれまでと比べて、全体的に内定出しのタイミングが早まっていた状況は歯止めがかかるのではないでしょうか。ただし、依然として不足している、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストなどの専門職は例外です。高い報酬などを提示して、積極的に採用していく動きはさらに加熱していくはずです。

注意したいのは、採用活動も大学の授業もオンライン化する中で、学生同士が情報交換する機会が急速に減っていることです。周囲の動きが見えないと、何をしていいのかわからない学生が増え、その結果、動けている学生とそうでない学生とに二極化していきます。

内定していない学生には活動の絶対量が少ないという傾向がありますが、これは企業にとって好ましいことではありません。また、企業が発信しているつもりの情報が思ったほど学生に届いていない、というデータもあります。自ら情報をとりにいかない学生にどうアプローチしていくのかを、意識しなければなりません。

「企業と学生をつなぐサービス」を原点に戻ってつくりなおした

―― 2022年卒採用に向けた、貴社の商品やサービスの特長をお聞かせください。

大家:昨年は弊社の内定者フォローサービスで、多くの学生の皆さんや大学関係者にご迷惑をおかけしました。その反省から、新卒事業検討プロジェクト3ヵ月で徹底的に議論し、サービス提供ポリシーに沿って、商品・サービスを順次リリースいたします。

株式会社リクルートキャリア 新卒事業統括部 統括部長 大家純一さん photo

「リクナビ」も「合同企業説明会」も、企業と学生をつなぐことが目的であり、本来どちらにも均等にサービスを提供するべきです。しかし、近年の状況を振り返ると、参画費用をいただいていることもあり、どちらかといえば企業側に立ったサービスになっていたことは否めません。今回、2022年卒向けのサービスを考えるにあたり、私どもはその起点が「学生ファースト」であるべきだと結論づけました。就職活動では、学生と企業の間に、どうしても力関係があります。採用する側の企業が強くなりがちですが、私どもは学生の立場を支援していくことを軸とします。それがすべての新サービスのコンセプトとなっています。

まず注目いただきたいのは、「リクナビ2022」で始めた「学生からのインターンシップの評価」を掲載するサービスです。「インターンシップ・1day仕事体験」ページ内で9月30日にリリースしました。旅行やグルメ、通販などのサイトによくある、カスタマーからの口コミ評価やレビューに近いものですが、新卒大手就職メディアでははじめてです。個人を特定できないよう、最低10件以上の評価が集まらないと公開されません。これには賛否もあって、一部の企業からは「一方的に評価されるのは納得できない」とお叱りを受け、参画を見送られたケースもありました。学生にとっては有益な情報になることをお伝えして、何とかご理解いただきました。

6月から投稿を受け付け、リリース時点で1万8000件の評価が集まりました。10月の段階では2万5000件に迫っています。学生や大学からは、「他の学生の率直な感想がわかり、就活に踏み出すきっかけになった」といった声が届いているほか、企業からも「インターンシップの内容改善、品質向上に活用できそうだ」という反響をいただいています。

もう一つは、「企業への注目度」を可視化するサービスです。これまで、ある企業に学生がどのくらい注目しているのかといった、相場感はわかりませんでした。そこで、興味のある企業をリストに保存する機能を利用し、何人が保存したかが見える仕組みを新設しました。有名企業だけでなく、隠れた人気企業も可視化されます。このような情報を知りたいという学生の声は以前からあったのですが、中堅・中小企業からは「人気がないのがわかってしまう」と嫌がられることでもありました。しかし、これも学生ファーストでリリースを決定しました。

―― 企業を直接サポートするような、新サービスもあるのでしょうか。

大家:会社説明会、面接、集合型イベントなどをオンラインで行える機能の提供を進めています。オンラインのメリットについてはすでに十分理解されており、今後はより手軽に便利に使えることがポイントになってきます。現状での反応を見ると、地方からの引き合いが多くなっています。地元学生に加えて、U・Iターンのニーズとも合致するので、これまではリアルで数人しか会えなかった企業が、オンラインで一気に十数人とコンタクトできたといった事例も少なくありません。

企業データ

社名 株式会社 リクルートキャリア
本社所在地 〒100-6640 
東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー
事業内容 社員募集領域における人材採用広告事業/斡旋事業/選考支援事業
[厚生労働大臣許可番号 13-ユ-010258]
設立 1977年11月28日(商号変更2012年10月1日)
代表者名 代表取締役社長 佐藤 学

会社情報

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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