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インタビュー
株式会社学情 執行役員(企画部・Web事業推進部担当) 乾真一朗氏
株式会社学情 Web事業推進部 マネージャー 澤井則明氏に聞く

Web面接で学生をどう見極め、関係性を構築していくのか
2022年卒採用のポイントは「オンラインとリアルの融合」

世界がコロナ禍に大きく翻弄された2020年。新卒採用も例外ではない。企業説明会や面接など、これまで対面が当然とされていたプロセスがWebへの移行を余儀なくされ、インターンシップも急速にオンライン化が進んだ。また、「売り手市場」が続いていた需給バランスに、変化の兆しが見えてきた。異例続きとなった2021年卒の新卒戦線に、企業はどう対応したのか。また、すでに動き出している2022年卒の採用現場では、どんなトレンドが浮かび上がっているのか。「あさがくナビ」「就職博」などを通じて、大手から中小・ベンチャーまで幅広い企業の新卒採用をきめ細かくサポートしている株式会社学情の乾氏と澤井氏に、新卒採用の最新状況をうかがった。

選考のオンライン化に伴い、内定辞退率が上昇した2021年卒採用

―― 2021年卒の新卒採用市場には、どのような傾向があったのでしょうか。

株式会社学情 執行役員(企画部・Web事業推進部担当)乾 真一朗氏、株式会社学情 Web事業推進部 マネージャー 澤井 則明氏

乾:最大の特徴は「コロナ前」と「コロナ以降」の変化の大きさでしょう。新型コロナウイルス感染症の流行が大きな問題になる前の2019年は、企業の採用意欲が非常に旺盛で、学生もそれに引っ張られる形で積極的に動いていました。

多くの企業がインターンシップに力を入れるようになった近年の流れを受けて、21年卒採用でも、就職を希望する学生の83.4%が何らかの形でインターンシップに参加しています。前年の78.3%に対して大きな伸びです。ただ、この時期はまだまだ「売り手市場」で、学生の方が主導権を握っていたように思います。

インターンシップの中身は、多くの学生とコンタクトしたいという企業の思惑もあり、長期よりも短期・1DAYが盛んだったようです。経団連主導の採用スケジュールは「3月広報解禁・6月選考解禁」なので、当社も含めて主要な就職サイトは3月にグランドオープンします。それを待っていては出遅れてしまうと考えた企業がインターンシップという形で母集団形成を進め、年明けの2月頃から実質的な選考に入るのがひとつのパターンとして定着してきています。

澤井:一方、インターンシップでは十分な母集団を形成できていない企業、特に中堅・中小・ベンチャー企業は、「ここからが本番」という年明けの時期にコロナ禍に直撃されることになりました。中でも影響が大きかったのは、合同企業セミナーが相次いで中止されたことでしょう。大規模なイベントが2月中旬くらいからどんどん中止になっていったので、採用機会が急速に減少し、戸惑う企業も少なくありませんでした。また、大学のキャリアセンターが主催する学内合同説明会が中止されるケースも多く、大学や学生側の危機感が一気に高まっていったように思います。

―― 貴社が主催する合同企業セミナー「就職博」では、どのように対応されたのでしょうか。

乾:当社のイベントはそこまで大規模ではないので、感染対策を徹底した上で、緊急事態宣言が出るまでは開催していました。「あさがくナビ」のコンセプトもそうですが、「企業も学生も最後までサポートする」というのが当社のポリシーだからです。当然、賛否があることも覚悟していましたが、現場の人事や大学のキャリアセンターなどからは、合同企業セミナーの開催・実施についてお褒めの言葉をいただくことが多くありました。

―― 最終的に、2021卒採用はどのように総括されそうですか。

澤井:「あさがくナビ」の反響を見ると、3月以降のエントリーが対前年比1.6倍に増加。9月になっても、この傾向は続いています。背景には学生の「二極化」があるのではないでしょうか。コロナ下でもリアルとオンラインをうまく使いこなしていた学生は早々に内々定をもらい、逆に「企業も自粛モードだし……」とのんびり構えていた学生は大きく出遅れてしまっている状況かと思います。

一方、企業へのアンケート調査では「コロナ禍の影響で新卒採用を減らした/中止した」という回答が24.4%にとどまりました。およそ4社に1社で、逆にいうと、それ以外の企業では採用計画への影響があまりなかったのでしょう。ただ、業界によっては大打撃を受けているところもあり、業種による差が顕著です。

もうひとつ、明確になった傾向は内定辞退率の上昇です。多くの企業が「Web面接」を導入したことで、学生との関係性の構築が弱くなったように感じています。内定式前に確認したところ、「2~3割の内定者と連絡がつかない」「内定をその場で辞退された」というケースもありました。10月以降、辞退者分を補充するための追加募集を行う企業も少なくないと思われます。

2022年卒採用もインターンシップが主戦場となる傾向は変わらない

―― 次に、2022年卒採用についてうかがいたいと思います。採用市場の動向をどのようにご覧になっていますか。

株式会社学情 執行役員(企画部・Web事業推進部担当)乾 真一朗氏

乾:学生については、まず圧倒的に危機感が高まっています。景気の下振れ予測もあり、「もはや売り手市場ではなくなった」という認識です。そのため、就職活動に熱心に取り組む学生が増えています。「8月時点でのインターンシップ参加経験/参加予定」は71.4%という調査結果が出ていますが、明らかに前年以上のペースです。インターンシップの内訳は、オンライン50.7%、リアル20.3%、両方(オンラインとリアル)29.0%。特にオンラインインターンシップへの参加が目立ちます。

澤井:企業の採用意欲は、前年と比較してそう大きな変動はないと見ています。コロナ禍を受けてやや慎重になっている企業は多いようですが、逆にチャンスと捉えて採用予算を増やしている企業もあります。ただ、売り手市場ではなくなったという需給バランスの変動は、企業のマインドに多少影響を与えるかもしれません。最初に年間予算を決めてメディアやイベントのスケジュールを一気に押さえてしまうようなやり方ではなく、当面3~4ヵ月程度の予定だけを決めて、情勢を見ながら臨機応変に対応していく方針にシフトしている印象です。

また、「より質を重視したい」という企業も増えています。本来のターゲットにいかにリーチするか。それも対面ではなくWeb面接でどう選考していくかが大きな課題です。当社にも、提案を求められることが増えています。

―― 「質」に対する考え方は、コロナ前後で変化しているのでしょうか。

乾:自分で考えて行動できるという「主体性」を重視する傾向はこのところずっと続いていて、コロナによる影響はないと思われます。ストレス耐性を見る適性テストの販売が伸びているので、これはテレワークが増えている現状と関係があるかもしれません。

―― これから年明けにかけて、採用戦線はどう推移していくと予測されますか。

乾:ここ数年続いた「早期化」の流れは、2022年卒採用でも続くと見ています。オンライン就活のような新しいスタイルはより広く定着していくと思いますが、インターンシップや合同説明会などのイベントで年内に母集団を形成し、早ければ年明けから選考をはじめるといったパターンは基本的に変わらないでしょう。

その上で、Web面接のデメリットのひとつとして浮上してきた「内定辞退」をどう減らすかが、大きな課題です。先日開催した企業や大学を交えてのオンライン・パネルディスカッションでも、「リアルとオンラインの融合」がキーワードになっていました。100%オンラインでやるという企業もありましたが、どちらかといえばリアルも併用する方向に揺り戻している印象です。

たとえば、最終面接だけは本社に来てもらって必ず対面で行うとか、7泊8日のリアルインターンシップを、PCR検査を受けてもらった上で実施し、夜は全員会社指定のホテルに泊まってもらったといった事例が紹介されていていました。感染対策などの手間をかけてでも、企業の魅力をしっかりと理解してもらい、内定辞退や採用のミスマッチを減らしたいという考え方がベースになった取り組みだと思います。

学生の関心も高い「ジョブ型採用」と動画サービス「JobTube」

―― 2022年卒採用に向けて、企業が注意すべきポイントとは何でしょうか。

乾:やはり「リアルとオンラインの融合」が重要になってくると思います。特に、中堅・中小・ベンチャー企業はデジタルに振りすぎると、母集団形成の段階で厳しくなります。たとえば、合同企業セミナー。オンラインだけでは「偶然の出会い」が期待できません。リアルのイベントなら、目的のブースを訪ねた後、せっかくだからもう2~3社見ていこうということが普通にあります。あるいはまったく知らない会社でも、たまたま通りがかったら人が集まっていたので興味を持った、ということもあるかもしれません。

しかしオンラインでは、人気企業にダイレクトにアクセスでき、ブースの定員制限もないことが多いので、待ち時間に他を回るといった効果を望めません。そのため、当社もリアルの合同説明会を引き続き実施していきます。

株式会社学情 Web事業推進部 マネージャー 澤井 則明氏

澤井:並行して「Web就職博」「Webインターンシップ博」などのオンラインサービスも、積極的に展開します。大手を中心にオンライン主体で採用したいという企業もありますので、各企業のスタンスにあわせて、提案・サポートができるよう、ラインナップの充実をはかっています。

―― 2022年卒採用向け商品・サービスの特長をお聞かせいただけますか。

澤井:前年に引き続き「ジョブ型採用」への支援を強化しています。職種別掲載を選択することで、それぞれの職種(ジョブ)に対応した複数の画面に掲載され、マッチングの確率を上げることが可能です。職種別掲載がフックになって採用に成功した、例年とれていなかった優秀層がとれた、といった高評価の声を多数いただきました。やりたいことが明確な学生にとっても、入社後に配属が決まる総合職採用より絶対にいいはずです。新卒では、まさに今がジョブ型元年でもあり、2022年卒採用ではさらに増えていくのではないでしょうか。

「あさがくナビ」には、合同説明会などのイベント会場で情報を入力してもらうだけで、学生とLINEでのコミュニケーションがとれるようになる、「あさがくナビコミュニケーター」というサービスがあります。今の学生はメールもチェックしないし、電話にも出てくれません。しかし、LINEなら気軽に返信できるので、リアルでの接触機会減少を補う強力なツールとなります。

また、新サービスとしては“職場体感型”採用動画「JobTube」があります。当社のスタッフが企業への突撃インタビューを行う、取材形式の動画です。リアルでの接触が難しい中、内定辞退を防ぐためにもっと社内の雰囲気や職業観を伝えたいとお考えの企業にとって、臨場感のある動画は有効なツールになるはずです。「あさがくナビ」の画面内に組み込めるほか、YouTubeの公式チャンネル内でも展開できます。すでに予想以上の引き合いをいただいています。

乾:また、少し視点を変えた提案として、既卒者・第二新卒をターゲットとした通年採用のためのサービス「Re就活」にもご注目いただきたいところです。すでに、4月入社の一括採用だけでは企業の人材ニーズに対応できない時代になりつつあります。コロナ禍の影響で一時的な需給の変化はあるとしても、少子高齢化の基本的な社会構造は続きます。「あさがくナビ」と「Re就活」を組み合わせることで、よりフレキシブルに若年層を採用することができます。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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