ナビサイトのメリットを最大限生かし、
企業と学生との相互理解、深いコミュニケーションを目指す「マイナビ」
コロナ禍での就職に対する不安もあり、学生が早い時期から活発に動き出した2022年卒採用。一方で、選考のオンライン化によって、会社理解やコミュニケーションが深まらなかったなど、さまざまな課題も聞かれた。2023年卒採用を成功させるために、企業はどのように採用を計画し、動けばいいのだろうか。株式会社マイナビ 事業推進統括事業部 大塚亮氏に、同社の取り組みと合わせてうかがった。
コロナ禍でも選考はスムーズに。コミュニケーションに課題が残る
―― 2022年卒採用の傾向をお聞かせください。
企業の採用意欲は、2021年卒採用と比べるとやや活発となりました。当社の調査でも、企業の採用人数は「前年並み」が最も多かったものの、「2021年卒よりも増やした」との回答が2割以上ありました。
2021年卒採用は動き出しの時期に新型コロナウイルス感染症が流行し、多くの企業が突然、採用計画や選考手法の変更を迫られました。2022年卒採用では「変更があり得ること」を想定して選考計画を立てた企業が多く、会社説明会や面接も、オンラインとオフラインを組み合わせることで、感染状況にかかわらず柔軟に実行できていました。
それに合わせるように、今年3月以降の学生の動きも、昨年より活発な傾向にありました。特に3月から4月には個別企業セミナーや面接への参加が増加し、内定率が早い段階から上昇しました。昨今のインターンシップ活動の活性化に加えて、コロナ禍で就職できるのかという不安が大きかったことも、早めの動きにつながったのでしょう。
ただ、インターンシップは2020年夏にコロナの第2波があった影響で、中小企業を中心に実施率が下がりました。一方、大手企業や上場企業などはオンラインを上手く取り入れた企業も多く、影響は少なかったようです。
―― 2021年卒採用と比較して、どのような課題がありましたか。
採用選考のオンライン化は、応募企業の選択肢が増えるなど、学生にとってプラスの要素が多かったのですが、コミュニケーション面で課題が残りました。企業理解を深めたり、選考への意欲を高めたりすることが難しかったようです。企業からも、エリアを跨いだ学生の応募増などのメリットがあった一方、「学生の志望度が高いのかどうかわからない」「業界・会社に対する理解度が把握できない」といった声を多く聞きました。企業との直接的なコミュニケーションが減った結果、学生の入社意欲が上がらないまま選考が終わることになり、結果として内定辞退につながってしまった例もあるようです。
また、学生はコロナ禍で学校生活やアルバイトなどを経験する機会を失い、エントリーシートや面接時に使う自己PRの作成が難しくなりました。アンケートでも、学外活動が大幅に減ったことがわかっています。社会人に会う機会が減り、仕事に興味を持つきっかけも減少していました。
根強いニーズが続く2023年卒採用。点ではなく線で捉えた採用活動が重要に
―― 2023年卒採用はどのような動向になると予想されますか。
2022年卒採用を実施した企業の86%が、引き続き採用を「実施する」と回答しています。上場企業に限定すると95%近くになり、今後も定期的な新卒採用は維持されていくでしょう。
また、学生のインターンシップ活動が活発化しています。当社の調査では、今年6月時点の2023年卒学生のインターンシップ参加率は22.7%と、昨年同時期より6.7ポイント伸びました。キャリアや就職について、早期から考えて動き出す学生が増えています。企業も意欲的で、2023年卒向けインターンシップサイトの掲載社数は、オープン時点で6400社を超えました。
―― 2023年卒採用に向けて、企業はどのような準備をする必要がありますか。
一つはオンラインとリアルそれぞれで、何を見極めるのか、何を伝えるのかを考えることでしょう。例えば、求人情報などを伝えるだけなら、オンラインで十分です。しかし、お互いの価値観や相性といった言葉にできないものは、リアルの方が伝わります。それぞれに良さがあるので、伝えたい内容や選考段階によって使い分けることが重要です。
また、面接だけに頼らず、さまざまな手段を使って学生を知ることも考えた方がいいでしょう。ストレス耐性を確認するために、適性検査を利用されている企業は多いですよね。その他にも、エントリーシートで見えてこない能力や性質を知るため、課題を設定して提出してもらうといった工夫も必要です。
もう一つ重要なのは、一連の採用活動における学生とのコミュニケーション設計です。学生に伝える内容、学生から聞きたい内容を洗い出し、どのタイミングで伝えるかを設計します。このとき、説明会、面接といった「点」でコミュニケーションを最適化するのではなく、採用活動全体を「線」で捉えてストーリーを描き、実行していく必要があります。
採用活動の質を向上させるために、新たな機能やサービスを続々とリリース
―― 2023年卒採用に向けた、サービスのコンセプトについてお聞かせください。
サービスコンセプトは変わらず、「さいしょの一歩を、いっしょに」です。まずは学生の不安にしっかりと向き合い、そのうえで企業とのマッチングを促していきたいと考えています
近年は、スカウトなどさまざまな採用手法がありますが、ナビサイトはすべての学生に情報がオープンに公開されるというメリットがあります。学生は、どの企業にも平等にエントリーできますし、検索によって全く知らなかった業界・企業と出会うことができるので、学生が能動的に視野を広げられるツールでもあります。
当社は業界をリードする立場として、採用市場自体をよりポジティブな方向に変えていく活動を進めていきたいと考えています。
―― 具体的には、どのようなサービスを展開される予定ですか。
2022年卒採用の課題であった相互理解やコミュニケーションを改善できるよう、既存機能の改善を進めています。
まずは、オンライン上で企業から学生に提供する情報の質を高めます。たとえば、求人情報を職種別・コース別に掲載できるようにしました。より細かい情報が見られることで、学生が応募への納得感を得やすくなると考えています。
学生との接触回数を増やすことも必要です。その一つとして、WEB面接ツールの機能を改善しました。一度の面談で話せる人数を増やし、より多くの人とコミュニケーションがとれるようにしました。面談の際に、人事担当者同士でチャットができる機能なども改善しています。
マイナビには、以前からOB・OG訪問ができる機能がありますが、WEB面接ツールと組み合わせることで、業務負荷を軽減しながらコミュニケーションの質を上げていくことが可能になります。
複雑化する採用業務に対応するため、新たに応募者管理システム「MIWS」をリリースしました。直感的に操作できるシンプルなデザインに改修し、応募者とタイムリーにコミュニケーションができるように機能を拡充しています。
さらに、早期から働くことについて考えるため、大学1・2年生の方が利用できるキャリア育成サイト「START」をリリースしました。自己診断をしたり、業務にフォーカスした記事を読んだりすることで視野を広げ、キャリアを考えることをコンセプトにしています。
―― これから2023年採用を本格化する企業へメッセージをお願いします。
マイナビは、採用活動全般をサポートできるサービスをご用意しています。「No.1就職サイト」と皆さんから呼んでいただけるほど掲載社数が増えました。一社ごとに採用活動の課題や採用対象、採用活動時期は異なりますが、それぞれの状況に応じて総合的にご提案できるのが、マイナビの最大の強みです。皆さまの課題をお聞きしながら、納得のいくプランを提案いたします。
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企業データ
社名 | 株式会社マイナビ |
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本社所在地 | 〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 |
事業内容 |
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設立 | 1973年8月15日 |
代表者名 | 代表取締役 社長執行役員 中川 信行 |